〈パリ特派員の子育て通信〉誕生会で一緒にケーキ作り フランスの先生も大変だ!

竹田佳彦 (2018年11月6日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

パリ特派員の子育て通信

 2017年9月からフランスに駐在する東京新聞パリ支局の竹田佳彦記者(40)が、現地の子育てについてつづります。随時掲載。
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幼稚園のお誕生会に先立ち、自宅でもケーキが出て目を輝かせる娘=パリ市内で

 涙の登園ストライキから1カ月。幼稚園の話を聞くと暗い顔になったり、夜中に寝ぼけて大暴れしたりもした娘でしたが、ようやく「たのしいよ」と話をしてくれるようになりました。

 「幼稚園でねガトー(ケーキ)、フーってしたの」。3歳になった誕生日の夕方、家に帰ってきた娘が報告してくれました。10月生まれの子どものお誕生会がクラスであり、みんなでろうそくを吹き消したようです。「おいちかった」と言う娘の笑顔から、うれしさがにじみ出ていました。

 クラスごとに毎月お誕生会をすることは入園の時、説明されていました。先生からは「誕生日を迎える子どもの保護者は当日、ケーキを用意してください」と言われました。持ってくる例として先生があげたのはガトーショコラ。フランスではどの子にも人気のチョコレートケーキです。

 問題は、その誕生会がいつなのか分からないこと。9月末のある朝、担任のマイリス先生にケーキについて尋ねました。すると「こちらで用意するから大丈夫。誕生会は月末で、みんなで写真も撮ります」。説明会とは違う内容にちょっと不安になりました。

 誕生会当日、帰宅した娘がケーキを食べたと聞いてホッとひと安心。10月生まれのグラブリエルちゃんとライアナちゃん、アリ君と娘の4人は、先生と一緒にりんごケーキを作ったとのことでした。手分けして材料を混ぜ合わせて焼き、一緒にろうそくを吹き消したり、「ジョワイユー・ザニベルセール(ハッピーバースデー)」と歌ったりしたそうです。

 先生によってやり方は違うようで、保護者がケーキを用意したクラスもありました。保護者が材料を分担してケーキを用意する園もあるとか。「先生に小麦粉を持ってきてと言われたわ」という知人もいました。以前は自宅で作ったケーキを持っていくことが多かったようですが、衛生面などへの配慮から、近年は買ったものを持って行くのが一般的だそうです。

 先生の工夫が光る幼稚園ですが、フランスでも日本同様に先生の過剰な負担が社会問題になっています。「書類作りばかり増えている」「保護者の要求が多くなっている」との悲鳴も。仏上院が7月に出した報告書では、縦社会の教師の世界で、周りの助けを得られず心を病む先生がいる、との指摘もありました。子どもともっと向き合いたいのに時間も心の余裕もない。そういう先生も少なくありません。園児と一緒にケーキを作る先生は決して一般的ではないようです。自分たちで手作りしたケーキで祝う誕生日は、娘にとって格別だったことでしょう。

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