〈えほん〉「さくらの谷」文・富安陽子 絵・松成真理子

(2020年3月27日付 東京新聞朝刊)
写真

(長壁綾子撮影)

 歌声に誘われ、「わたし」は満開の桜に埋め尽くされた谷へと下りていく。

 桜の木の周りでは、鬼たちが花見をしていた。輪に交ざると、驚いたことに重箱の中身は子どもの頃、母が運動会の日に詰めてくれたものとそっくり。かくれんぼで「鬼」になった「わたし」は鬼たちを探すうち、不思議な気持ちに包まれる。追い掛けているのは本当に鬼なのか? 桜の谷で遊んでいたのは?

 父を見送った夜に、著者が見た夢から生まれた絵本。もう会えない人たちは、こうやって見守ってくれているのかも。

 1430円。偕成社=電話03(3260)3221。

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