ボートレーサーがコロナ禍の子育て家庭を支援 将来は競艇場に子ども食堂を
父光昭さんとの親子対決も注目
前田選手は埼玉支部に所属し、2014年にデビュー。初勝利までは2年近くかかったが、同じレーサーの父光昭さん(52)との親子対決でも観客を沸かせる人気選手の一人だ。
その活躍の舞台は新型コロナの感染拡大で、昨春から一時期は無観客での開催を強いられた。「お客さんがいないと練習みたいで緊張感が薄れた」と苦笑しつつ、「仕事を失ったわけではなく、競技を続けていられる立場は恵まれている」と感じながら日々を過ごしてきたという。
不自由なかった自分が支える番
何か自分にできることはないか-。そう自問し、コロナ禍前から社会貢献の活動に取り組んできた先輩レーサーたちの存在にも刺激を受けた。大型船をけん引する小さなタグボートをイメージし、「小さな力でも大きなエネルギーを発信したい」と昨年9月にプロジェクトを始動させた。
支援の対象を子育て家庭にしたのは、子ども好きが理由だけではない。子ども食堂が各地に広がるのを知り、「満足にご飯が食べられない子がいるのが信じられなかった。不自由なく生きてきた自分が、今度は誰かを支える番」との思いを強くしたからでもある。
競艇場に親子で集える居場所を
プロジェクトでは埼玉支部や東京支部などのレーサーに協力を呼びかけ、前田選手を含む6人が思い思いのメッセージや絵柄をTシャツにデザイン。昨年9月と12月に公式サイトで受注販売した。9月は130枚を売り上げ、その収益金約8万円を戸田市社会福祉協議会に寄付した。
第3弾の新作の販売は3月ごろの予定だが、前田選手は「その先」の活動も見据えている。大人のギャンブル場と見られている競艇場で、自ら子ども食堂を開くことだ。「親子で集える居場所をつくり、幼いころからボートレーサーという職業に親しんでほしい」。競技の裾野を広げるきっかけにもなればと願っている。
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