〈えほん〉「やまなし」原作・宮沢賢治 絵と構成・武田美穂

(2024年6月26日付 東京新聞朝刊)
写真 絵本「やまなし」

(長壁綾子撮影)

 5月のある日、2匹のかにの子どもが小さな谷川の底で話をしている。「くらむぼんは、わらったよ」「くらむぼんは、しんだよ」。青くて暗い水の天井を、つぶつぶの泡が流れていく。

 1匹のさかなが頭の上を、つうっと通り過ぎていく。お日さまの光が降ってきて、にわかに周りが明るくなる。さかながまた戻ってきた時、突然とがった何かが上から飛び込んできて…。

 5月と12月。2つのお話からなる。宮沢賢治の名作を親しみやすい絵本にした。世界観に触れ、原作を読むきっかけになる一冊。

 1650円。理論社=電話03(6264)8890。

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