ポジティブな妻がまた資格の勉強を始めた〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉

(2023年11月1日付 東京新聞朝刊)

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お父ちゃんやってます!加瀬健太郎

 スーパーで買い物すると、「物価上がったな」と実感するこの頃。おしり拭きのサイズも小さくなった。何枚も使っていたら、妻に渋い顔をされたので、それ以来、なるべく2枚で拭こうと試みている。四男のコンディションにもよるが大体失敗する。「世界経済は手の匂いまで変える」と感心しながら嗅ぐ。

 最近、妻がまた新しい資格の勉強を始めた。つい先日までは、保育士の勉強をしていた。「いつも赤ちゃんに触れられるなんて天職かも」と言っていたのにやめた。その前のカラーコーディネーターは、本だけ買ってやめた。

 子供服のブランド立ち上げは、ミシンが壊れてやめた。TOEICの勉強は、「900点とったら海外旅行に行く」と目標を立ててやめた。ネイリストは機械を買ってやめた。etc…。

 楽しそうに勉強する妻に、「今回は諦めんとやれたらいいな」と言うと、「何言ってんの? 私一回も諦めたことないよ。いつもやりたいことが次々でてくるからやめてるだけ。ネガティブじゃなくて、ポジティブなやめ方だから。ほっといてくれる」と妻が堰(せき)を切ったように言ってきた。「これぐらい前向きになれたらいいな」と思った。

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 うちの子どもの中で、一番サラリーマンに向いてなさそうな次男。手に職でもつけておいた方がいいのではと思い、「絵の教室に習いにいってみるか?」と勧めてみたら、「絵ってさ、習うもんじゃなくない?」とマンガを読みながら言った。「もう巨匠なんだ」と思った。

加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

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 写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。13歳、11歳、6歳、3歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。

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