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児童福祉司が子どもに会いに来ない 児童養護施設が訴える実態 「家庭復帰が遅れる」懸念も

岡本太、石原真樹 (2019年7月14日付 東京新聞朝刊)
 「担当の児童福祉司が年に一度も子どもに会いに来なかった」。関東1都6県の児童養護施設を対象とした本紙アンケートには、児童相談所による施設の子どもたちへの支援が「後回しになっている」との実態がつづられていた。厚生労働省は家庭的な環境を整えようと施設の小規模化を進めるが、人手不足の中では対応が難しいとの声もあった。 

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厚労省の指針では「養育報告は年2回」「定期的に施設を訪問」

「児相は子どもを施設に預けっぱなし」「児相にとっては施設入所がゴールになっているのではないか」。アンケートには、こんな不満がいくつも並んだ。

 児相は施設の子どもたちをどう支援するべきか、厚労省は指針ではっきり定めている。「子どもの養育報告を施設から聞き取り、必要に応じ子どもや親への援助を行う」「養育報告の回数は年2回程度」「定期的に施設を訪問して極力子どもと面会し、子どもの意向を把握する」

 だが、アンケートでは多くの施設が「福祉司が子どもに会いに来ない」と訴えた。北関東のある施設は「連絡しても連絡しても何もしてくれない福祉司もいる」と自由記述欄に書いた。

虐待通告や相談は10年で3倍以上なのに福祉士は…

 その背景として、多くの施設が「児相の職員は忙しすぎる」と指摘する。熱心な福祉司もいるが、ほとんどの場合、担当する子どもが多すぎて対応し切れていない。神奈川県の施設は「(児相は)家庭にいる子どものケースで手いっぱい」と説明。実際、児相への虐待通告や相談件数はこの10年で3倍以上に増えたが、福祉司の数は1.4倍にとどまっている。

 児相の支援が届かないことで、施設にいる子どもの将来にも影響が及んでいる。東京都の施設は児相のフォローが不十分なため、家庭復帰が遅れるケースがあると回答。「本当は家に戻れる子もいるのに」と嘆いた。「特に長期間入所する子どもへの児相の家庭復帰支援はほとんどできていない」。埼玉県の施設はこう指摘した。

 このほか、福祉司の異動が多いため「一から子どもとの関係をスタートしないといけない」との声や、経験の浅い福祉司が少なくないとの指摘も多かった。

増える小規模施設 国の職員配置基準では対応できない

 アンケートでは、厚労省が進める施設の小規模化を巡り、職員数が足りないとの懸念も寄せられた。同省は家庭に近い環境が望ましいとして、6~8人の子どもたちが地域で生活するグループホームなどを増やしている。民間調査会社によると、小規模化を導入している施設は全国の75%に上る。

 ところが、厚労省の職員配置基準で公費が出るのは、子ども6人に職員3人分まで。職員の宿直や休みなどを考えると、職員1人で子ども6人を見ないといけない時間帯が生まれる。

 「虐待などへのケアを必要としている子が増えているのに、現状では十分に対応できない」「最低でも6人の子どもに職員6人は必要」。アンケートには悲鳴にも似た声が寄せられた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年7月14日