双子用ベビーカーを助けます! 工事でエレベーター使えない大江戸線の駅、東京都がヘルパー配置

(2020年2月4日付 東京新聞夕刊)
子育て世代がつながる
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双子ベビーカー利用者の移動を手助けする常駐のヘルパー(右)=都営大江戸線の若松河田駅で

 双子用のベビーカーに子どもを乗せる親などが駅構内を移動しやすいよう、東京都は1月から、要望のあった都営大江戸線の若松河田駅(新宿区)にヘルパー1人を常駐させている。工事でエレベーターを使えなくなったための臨時の措置で、都によると、こうした対応は初めて。取材を進めると、移動が難しい多胎児を抱える親の現状が見えてきた。

多胎妊娠に対応する病院の最寄り駅なのに、2台とも使えず

 「うそでしょ」。都内の女性(29)は昨年暮れ、若松河田駅のホームと上階の改札階、改札階と地上をつなぐエレベーター2台が今年1月から工事で使えなくなると知り、言葉を失った。

 駅近くには、多胎などでハイリスクとされる妊娠に対応する東京女子医科大病院がある。女性は双子を出産し、治療のため通院している。

 双子は来月で2歳。エスカレーターや階段を使うにしても、双子用ベビーカーと子ども2人、おむつなどの荷物を1人で運ぶのは難しい。別の駅から病院行きの都営バスもあるが、双子用ベビーカーは乗車の際に折り畳むのが原則。2人を抱き、ベビーカーや荷物を持つのは困難だ。タクシーの利用も、幼い双子は座っていられないため危険だ。

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東京女子医大は敷地内に都営バス停があるが、双子用ベビーカーは折り畳んで乗車する必要があり、親が子ども2人を抱いて乗るのは難しい=東京都新宿区で(いずれも潟沼義樹撮影)

保育経験のあるヘルパーがエスカレーターなどでサポート

 こうした状況を知った市民団体「多胎育児のサポートを考える会」は昨年12月、ベビーカーに乗せたまま駅内を移動できるようにしてほしいと都に要望。対応策として、都は病院の診療時間帯にヘルパーを配置することにした。

 利用希望者は駅構内の各所にいる警備員に頼めば、エプロンを着けたヘルパーが来て、エスカレーターでの昇り降りなどを手伝ってくれる。ヘルパーは保育経験があり、3月上旬に工事が終わるまで対応する。都によると、利用者は1日平均10数件あり、双子ではないが複数の子どもを連れた母親や妊婦の要請もある。

本当はベビーカーを畳まずバスに乗りたい…小池知事が検討

 冒頭の女性は1月、駅のエスカレーターを使った際に双子の1人を抱っこし、ヘルパーがもう1人を抱き、警備員がベビーカーを運んだ。女性は「ヘルパーが話しかけてくれて、娘も安心していた」とほっとしながらも「双子用のベビーカーのままバスに乗れるよう、融通が利けば」とこぼした。

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警備員(手前)も移動を手伝ってくれる

 同様の工事は今後も予想され、同会は「特に医療機関への交通手段は複数、確保されるべきだ」と指摘。1月31日には、都庁に小池百合子知事を訪ね、折り畳まず都営バスに乗れるよう、ルール変更も求めた。小池知事は「一定の安全性を確保した上で、畳まずに乗れるよう、国や関係団体と調整を進める。移動できる環境をつくっていきたい」と話した。

多胎児家庭の9割が「つらいのは移動」 外出せず孤立する恐れ

 「多胎育児のサポートを考える会」が昨年9、10月に全国の多胎児家庭1591世帯に実施したアンケートでは、育児でつらいと感じた場面について、89.1%が「外出・移動が困難なとき」と答えた。

 ベビーカーを畳めないことを理由に、バスの乗車拒否にあったという人も。「子ども2人とベビーカー、荷物の全てを抱えられず、あきらめてしまう」と悲痛な声が寄せられた。タクシーは「下車後の移動を考えて、双子ベビーカーを乗せられない車両には乗れない」「料金が高い」といった指摘も。

 代表の市倉加寿代さん(35)は「つらい経験から外出しなくなると、社会とつながれず、母親らは物理的、精神的に孤立してしまう。特に、医療機関への交通手段が限られると、子どもから治療の機会を奪う恐れがある」と警鐘を鳴らす。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年2月4日

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