ひとり親家庭がつながる、埼玉・加須の「こども食堂応援隊」 無料配布&くつろぎカフェを支える善意の広がり

(2020年5月5日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 「もし良かったらお茶も飲んでいってください」。埼玉県加須市の空き店舗で、隔月で開かれる食品の無料配布会。福祉施設のパート職員関根由紀さん(51)は、訪れた母子にほほ笑みながら声をかける。
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隔月の無料食料配布を続けていきたいと話す関根さん=埼玉県加須市で

副代表の関根さん「横のつながりをつくれれば」

 配布会は、経済的に困窮するひとり親家庭を支援するため、市内の有志で結成した団体「こども食堂応援隊」が昨年1月から実施してきた。関根さんは応援隊の副代表。元保育士で、親からも子どもからも親しみを持たれる存在だ。

 食料配布の会場には、ジャガイモやタマネギなどの野菜やコメ、缶詰や菓子、調味料などが並ぶ。いずれも支援団体や地元の農家などが提供してくれた。訪れた人は、数に制限はあるものの自由に選べる。

 「食品を渡すだけじゃなく、シングル同士の横のつながりが作れたら」という思いから、会場の奥にある古い和室を、くつろげるカフェとして開放した。ジュースやお茶、豚汁やそうめんなどを調理して提供する。たくさんの親子が集い、お盆やお正月に親戚が集まっているようなにぎやかな雰囲気に包まれる。1年以上継続し、参加する親子のつながりが広がってきた。

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野菜やコメ、菓子などの無料配布会(2019年撮影、「こども食堂応援隊」提供)

子どもの貧困に衝撃 支援募集に人・モノ続々

 活動のきっかけは、2年ほど前、団体の代表を務める内田圭一さんら2人と子ども福祉のセミナーに参加したことだった。「子どものおよそ7人に1人が貧困状態」と教わり、衝撃を受けた。自分たちに何かできないだろうかと考え、食料支援の活動を決めた。

 支援を募るチラシを作って呼び掛けると、「自分も子どものときひとり親だった」という高齢者や、「何かできないかと思っていた」という子育て世代などさまざまな人から「食料を提供したい」「ボランティアとして参加したい」という声が集まった。関根さんは「いろいろなボランティアを経験してきたが、こんなに人が集まるのは初めて」と驚く。

コロナ禍でカフェ休止 配布会は制限の中で継続

 徐々に活動が軌道に乗ってきたところを、コロナウイルスの感染拡大が襲った。3月の食料配布会は利用者に食品を選んでもらうことはできず、最初から袋詰めしたものを渡すことになった。カフェも中止に。5月の配布会は、より感染予防を徹底するため、宅配にする予定だ。

 関根さんの元には、いつも利用する母親から不安な声が届く。「勤め先のパート日数が半分に減らされ、収入が不安」「学校が休校になっているので給食が無くなって食費が大変」。関根さんはそうした声に寄り添いつつ、あらためて活動の大切さを認識する。2カ月に1度の会を待っている人のため、必ず活動を継続すると決意し、「カフェもいつか再開したい」と準備する。

 貧困は人々の分断も招く。食べることを通じて、結び直したいと願っている。

こども食堂応援隊

 加須市で困窮するひとり親家庭向けに食料の無料配布会を隔月で実施。約90世帯に配布する。20人ほどのボランティアで運営し、約30の個人や団体から食料提供を受けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年5月5日

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