人種問わず集える「こども食堂」 ガーナ出身ジャスティスさんの「恩返し」

曽田晋太郎 (2018年12月4日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 次代を担う子どもたちの可能性を開きたい-。NPO法人アフリカヘリテイジコミティー(横浜市青葉区)のトニー・ジャスティス理事長=相模原市中央区=は、2年前から横浜、相模原両市で「こども食堂」と「こども寺子屋」を開く。ガーナ出身で30年近く前に来日。活動の根底には「日本に恩返ししたい」との思いがある。
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こども食堂でカレーを味わう子どもたち=相模原市中央区で

「優しく接してくれ、助けてもらった」

 幼い頃から、映画を通じて忍者やサムライなどの日本文化に興味があった。20代で日本を旅行したのをきっかけに、ガーナから移住。当初は言葉の壁があり、なかなか仕事が見つからないなど苦労が絶えなかったが、「日本人は優しく接してくれ、助けてもらった」。将来、恩返ししたいという思いが芽生えた。

 団体をつくったのは2009年。日本人にアフリカのことがあまり知られていないと感じ、相模原市で多国籍料理店を営む傍ら、アフリカ文化の普及と国際交流を目的に活動を始めた。現地の食や伝統音楽、歴史を紹介するため、主に地元の小中高校で講演会を開き、東京と横浜では民族衣装のパレードや音楽ライブなどを催している。

日本にも子どもの貧困が…知ってショック 

 こども食堂を始めたのは2年前。テレビ番組で子どもの貧困を知り、「日本にも表に出てこない貧しさがあるのかと、ショックを受けた」。自分に何かできないかと考え、クリスマスなどに近所の人に食事を振る舞っていた父の姿を思い出した。「人種を問わず、子どもたちが集まれる居場所をつくろう」と決意した。

 食堂は、高校生以下を対象に横浜と相模原で月2回ずつ開く。ボランティアらと一緒に準備し、8~15品を提供している。日本料理をはじめ、トマトとニンニクが入ったカレーやグリルチキン、丸くもちもちとした食感のドーナツなど、祖国の家庭料理も用意する。15人から多い時で40人ほどの子どもが訪れるといい、「喜んでくれる姿がうれしい」と語る。

「子どもたちは未来の宝。世界に羽ばたいて」

 寺子屋は月に1回、食堂の後に開く。子どもの頃から異文化に触れてもらおうと、英語レッスン、アフリカの太鼓やマラカスを奏でる体験などを企画している。

 食堂も寺子屋も無料。「子どもたちは未来の宝。困っている子どもに手を差し伸べ、異文化にも触れてもらい、将来は世界に羽ばたいてほしい」との願いを込める。

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トニー・ジャスティス

  1990年代初めに来日。2015年、アフリカヘリテイジコミティーをNPO法人化し、母国でも貧しい子どもたちの支援に携わる。外国籍県民かながわ会議の委員長を務める。電042(707)1900。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2018年12月4日

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