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〈転勤を考える・中〉 希望のエリアや期間を制度化、知恵絞る企業「貴重な人材失うのは不幸」

(2019年5月20日付 東京新聞朝刊)
 転勤により家族と離れることに悩み、退職する人を前回、紹介した。一方、各地に営業所や工場、支店などを展開する企業の場合、人材育成や組織の活性化、顧客サービスの必要などから転勤は欠かせない。働く人の価値観が多様化する中、制度をどう維持していくのか。企業も知恵を絞っている。

【AIG損保】全国を11エリアに分割、希望に配慮

 国内に371の拠点を持つAIG損害保険(東京)は、全国を東北や東海、関西など11のエリアに分割。社員が希望するエリアで働ける制度を昨夏から段階的に取り入れている。エリア内の異動はあり得るが、家族と離れる可能性のある転勤の負担を減らし、生き生きと働いてもらうのが狙い。2021年中に全社員が希望エリアで働けるようにすることを目指す。

 販売戦略の立案などに携わる入社32年目、管理職の猪原正浩さん(54)は2018年7月、制度を使い、妻と大学生の娘が住む東京エリアへ移った。42歳から1年間を除き、ずっと単身赴任生活。入社後、仙台から福岡まで11回の転勤を繰り返した。その土地でしかできない体験を積めたのは良かったが「育児は妻に任せきりだった」。自宅近くの施設で暮らす父親(89)とも会いやすくなり安心して仕事に打ち込めている。

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どこでも転勤OKの社員→家賃補助や手当で優遇

 制度導入の背景には、親の介護や配偶者の転勤などを理由に、退職者が出ていたことがある。少子高齢化で、介護をしながら働く社員は、男女関係なく、今後ますます増えると予測。労働力人口が減り続ける中、「今いる社員に、できるだけ長く働いてほしい」と、17年から制度設計に取り組んだ。一方で、人員の配置が偏らないよう、全国どこにでも転勤が可能とする2割程度の社員には、家賃の9割を超える補助をしたり、給与に手当を上乗せしたりする仕組みも取り入れた。

 人事担当執行役員の福冨一成さん(48)は「制度の導入で事情がある人も働きやすくなった」と強調。「居住地を変えなくても、仕事の担当を変えれば人材は育てられる」。就職説明会では、新しい制度を巡る質問が活発に飛び交うなど、就活生の反応も上々。人材獲得に手応えを感じている。

【キリン】育児・介護中なら最大5年、回避できる

 13年4月から、期間限定のルールを取り入れたのは、キリンビール(東京)だ。育児や介護中であることを理由に「転勤はできない」と申請した社員に対しては、最大5年間、転勤を命じられない。申請は1年単位。人事担当者は「特定の期間のことで『転勤は無理』と辞めてしまったら、本人も、貴重な人材を失う会社も不幸」と制度導入の理由を話す。現在は30人ほどが利用している。

 共働き夫婦が増える中、配偶者の転勤に伴い退職や別居を迫られる社員に配慮する企業も。明治安田生命(東京)は07年から、全国にある拠点を生かし、社員の希望に沿って勤務地を変えられる制度を設けた。勤務地が一定の地域に限られる企業の中には、同業他社と連携する動きもある。全国地方銀行協会の地銀64行では、引っ越し先にある加盟銀行に、退職する行員を紹介、再就職に結びつける努力をしている。開始からの4年間で171件の再就職が実現した。

 ただ、こうした配慮をしている、あるいはできる企業はまだ少ない。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年5月20日

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