小学生が苦心した課題にバッサリ「C」評価 先生にも過重な負担 コロナ休校で見えた「学校はこのままでいいの?」
「親だけで勉強を見るのは限界だよね」「隣の区はオンライン授業やっている、と聞くとモヤモヤした気持ちになる」―。
新型コロナウイルスの感染拡大によって長期にわたった休校に関して、親たちの間でさまざまな意見が飛び交いました。周囲の人たちと話していて、話題が集中したのは、学校から出る課題のありかたと、オンライン授業のことだったように思います。
先日、東京新聞に連絡をくださった千葉県市川市のAさん(43)とも電話で1時間以上、休校中に感じたことについて話をしました。小学校5年と2年の2人の男の子のお母さん。学校からの課題は、国語、算数、社会、理科のほか、家庭科や道徳に関するものまであったそうです。5月に入ってからは習っていない単元も進めることになり、在宅勤務をしながらそのサポートをするのはとても大変だったといいます。「20分くらいやると飽きてしまって、私が怒って…の繰り返し。なんとかもらったプリントなどを埋めて出した感じです」
Aさんが驚いたのは、長男の課題が返ってきたとき。漢字のプリントなどに「B」「C」と成績を示すサインが入っていました。「確かに息子は字が汚くて…。でも、こんなふうに評価するんだ」とショックを受けました。
「新学年になってから登校もしていなくて、新しい担任の先生はまだ、子どもたちのことも全然理解していない状況ですよね。成績って本来、毎日の授業や生活を通して、この子はこんなふうに伸びているな、とか、ここが課題だな、ということを確認しながらの文脈の中で付けるものだと思っていました。だから、こんな状況で家でなんとか終えた課題に成績をつけることに何の意味があるんだろうと。息子の成績が悪かったからおかしいと言っているわけではないんです。もしAをとっていても同じように感じたと思う」
Aさんがこんな思いを抱いた背景には、休校中、学校とのコミュニケーションがほとんど取れなかったこともあるようでした。担任からは一度、自宅の通信環境などを尋ねる電話がきただけ。「1分でも2分でも子どもと話してくれたり、○○君どうしてますか、と声をかけたりしてくれたら」。課題に取り組むことが難しい状況を先生とシェアしたり、「学校で勉強するのと同じようにはできなくてもいいですよ」と声をかけてもらえたら、どんなに気持ちが楽だったか。
「それでもわが家は、私が在宅勤務である程度子どもの様子に目を配ることができました。けれど、親の仕事の内容などによってはそうできない家庭もある。課題が丸投げの状態だからこそ、よりフォローアップが大切なんじゃないかと思いました」
先生たちが休校中に習っていない単元まで課題を出したり、再開後もタイトな時間割で授業を進めるのは、カリキュラムをこなすよう求められているから。感染拡大防止策を講じながらの学校運営で、先生たちの心身の負担もとても重くなっていると聞きます。「学校生活で一番大切なのは、友達や先生とかかわって、いろんなことを感じたり考えたりすることなのでは。それが欠けているのだとしたら、学校の意味ってなんなんでしょうか」。Aさんの投げかけに考えさせられました。
Aさんの子どもたちの学校では休校中、双方向のオンライン授業も行われることはなかったそうです。学校に尋ねると「教材の動画を作ってYouTubeで配信するのが精一杯」との説明があったとのこと。「先生たちが不得手なこと自体は仕方がないと思うんです。でも、もしかしたら保護者の中で精通している人もいるかもしれない。そういう人の力を借りることなども考えても良いのでは」とここでもコミュニケーション不足を感じたそうです。
課題のあり方や、オンライン授業がなかなか進まない状況から浮かぶのは、今の公立学校の問題点ではないでしょうか。どの子も同じ方法で同じゴールを目指して学ぶ一本道しかないこと。閉鎖的で外からの知見をなかなか取り入れられないこと…。Aさんとお話ししていて、私も一人の保護者として気づくことが多くありました。コロナの状況にかかわらず、考えていかなくてはならない大事なテーマだと感じています。
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