中学3年で書籍化2冊目 倉持よつばさんの桃太郎研究 椎名誠さんも称賛「若く新しい民俗学」

山本哲正 (2022年5月22日付 東京新聞朝刊)

2冊の著書を手に、笑顔の倉持さん。手前の新刊見開きは「日本昔話大成」にも掲載されていない桃太郎のエピソードを祖父から聞けた喜びをつづったページ=千葉県袖ケ浦市で

 昔話「桃太郎」の研究に没頭する千葉県袖ケ浦市立昭和中学校3年、倉持よつばさん(15)の新刊「桃太郎は嫁探しに行ったのか?」が新日本出版社から刊行された。宝物でなく、お姫様を連れ帰る桃太郎もいると知り、全国各地に伝わる桃太郎のストーリーの違いを調べた研究作品の書籍化で、自身2冊目となる。

2019年に初の書籍化 今回は「嫁探し」

 2021年度の「図書館を使った調べる学習コンクール」(図書館振興財団主催)中学生の部で、最高の文部科学大臣賞に輝いた作品の書籍化。日本各地に伝わる昔話を読み比べ、一般に知られた桃太郎を新たな視点で読み解いている。

 倉持さんは、小学5年生の時にも桃太郎を研究した「桃太郎は盗人なのか?-『桃太郎』から考える鬼の正体-」で、同コンクール小学生の部(高学年)の最高賞を受賞。この研究も2019年に書籍化された。

 自らほれ込んだ新日本出版社の田所稔社長(67)は「一冊目の時は、探求心豊かで事実に対して謙虚なところに感じ入った」と振り返る。

 今回の受賞作も「さらなる成長」を感じ、書籍化を即決したという。

民衆の願いやまちおこしを読み解く感性

 「『嫁探し』の桃太郎に当初は自己本位かと、がっかりしながらも、調べていく中でそこに民衆の願いが入っていると読み解く。さらに、地域の観光誘致で桃太郎の話がつくられていく面を知り、『まちおこしの思いがあって、どの伝説にも桃太郎愛があふれている』と寄り添っていく。その感性がすばらしい」

 作家の椎名誠さんも「若く新しい民俗学がずんずんあるきだした」と応援メッセージを寄せた。

 倉持さんは「今度も出版されるとは思っていなかったので、とてもうれしい。これから何か調べようと思っている人に、図書館の利用の仕方のヒントになればと思っています」と喜びを語った。

 全国の書店やインターネットで販売。A5判144ページ。1760円。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年5月22日

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  • さんや says:

    すごく、いいテーマで研究されて感心しました。是非、「鬼」の研究をこれからも続けてください。好きな本に「泣いた赤鬼」とありましたが、わたしも60年前の小学生の時に、文部省選定映画(モノクロ)になり、今でも覚えています。

    わたしは富津市の高齢者施設に住んでいましたが、そこから小さな山が見えて朝日昇り、神々しさに手を合わせていました。その山が「鬼泪山」ということを知りました。その山の由来を図書館の学芸員さんや地元の方に尋ねましたが、詳しいことは分かりませんでした。ようやく、ある程度知ることができましたが、そこには「鬼」の悲しい物語がありました。

    また、全国には「鬼」を祀る神社があります。将来、郷土の学芸員になられたら、そういうことも教えてください。倉持さんへのリクエストです。すみません。

    さんや 男性 70代以上

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