〈PTAフォーラム詳報・下〉「学校とつながる場」原点を見直そう! 退会者、会長…参加者たちに見えたこと

(2019年6月29日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

考えようPTA

 子育て期を通して保護者が直面する問題に迫った「PTAフォーラム~取り戻そう、自分たちの手に」(「東京すくすく」など後援)。5月に東京であったフォーラムから、PTAの今を2回に分けて考えた(〈上〉は「時代に合わせて変えたい! 保護者、校長、市長が熱い議論」)。〈下〉では参加者の中から、退会した非会員、改革を手掛けたPTA会長に話を聞いた。
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千葉県松戸市立栗ケ沢小PTAの竹内幸枝会長=同市で

辞めたら子どもに不利益が…心配だったが

 川崎市内の小学校に子ども2人が通う女性(41)は4月、PTAを退会した。直接のきっかけは入学式。式後の説明で任意加入に触れないまま、「全員提出」として事実上の加入届となる「委員・役員登録カード」の提出を求められた。「入学後に提出する大量の書類に紛れ込ませ、考える時間を与えない進め方は受け入れられない」と考え、PTAや学校への問題提起として退会。「外からつつき、いい方向に変えていきたい」と話す。

 都内の区立小に子どもが通う女性(44)が退会したのは5年前。きっかけの一つが1年間、登校班の見守りをするよう言われたこと。女性はフルタイム。朝家を出る時間は子どもより早く、無理な相談だった。

 辞める決心はしたが、子どもが不利益を被らないか心配だった。そこで学校やPTA会長と面談し、10回ほどメールでやりとりもした。結果、登校班も継続でき、PTAのイベントからも「排除」されなかった。「学校が差別をしないと示すことでPTAの態度が変わる。交渉する相手は学校だと感じた」と振り返る。

委員が集まらなければ活動休止するPTAも

 千葉県松戸市立栗ケ沢小PTAの竹内幸枝会長(45)は本年度から、委員の「強制」を廃止。その代わり人が集まらなければ活動を休止することにした。結果、広報と推薦の両委員が集まらず、本年度は広報誌の発行などを休止した。

 また来年度の新入生からは任意加入を周知した上で、加入届を書いてもらうことにした。在校児童の保護者にも、入退会が選べることを知らせた。

目指すべきは「保護者と学校が話し合う場」

 竹内さんは昨年、会長に就任。「本来のボランティアの原点に返ろう」と活動についてのアンケート調査や説明会を行い、こうした改革に取り組んだ。

 一方、自ら手を挙げる人が少なくなれば「PTAがなくなる可能性もある」と不安を語る。フォーラムでパネリストを務めた中学校長の「保護者と学校が話し合う場があればいい」という話がヒントになった。「多くの活動をそぎ落としても残すべき機能はそこ。目指す地点が見えた」

憲法学者・木村草太さん「”PTAは任意加入”を周知し、非会員の子を排除しないで」

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PTAの問題点を指摘する木村草太さん

 フォーラムには、PTA問題について積極的に発言している憲法学者の木村草太さん(38)も登壇。PTA問題は、2つの適切な対応をとれば解決するという。

「2つの適切な対応」でPTA問題は解決します

 第1に、任意加入を周知して、入会申込書を出してもらうこと。法的には、PTAへの加入は強制できない。強制だと誤信させる意図で、任意加入を隠し会費を取れば、詐欺罪に問われる可能性もある。また、学校がPTAに個人情報を提供するのは、プライバシー権の侵害だ。参加者に申込書を出してもらえば、強制や詐欺の問題は生じないし、個人情報を適切に取得できるようになる。

 第2に、PTAが非会員の子どもを排除しないこと。学校が会員限定サービスを行う団体に、特権的に施設を利用させるのは不適切だ。公立の場合、学校に行政財産を適切に管理する責任がある。PTA会員たちには、学校内でいじめを誘発しないよう非会員の子どもに配慮する義務がある。

 行政も、強制加入をさせたり、非会員の子どもを排除したりする団体に施設を利用させないようガイドラインを出すべきだ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年6月29日

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