緊急事態宣言で学校はドタバタ 授業ないのに休校中のプリントで成績評価? 尾木ママ「あり得ない」

大野孝志 (2020年4月12日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言は、入学式や始業式の時期と重なった。各地の小学校などは式を開くか、授業を再開するか、休校するかで混乱した。そのとき、何が起きていたのか。休校の今、どんな心配があるのか。現場の先生が語る。

入学式に向け、受け入れ準備に追われる教職員たち=名古屋市北区の清水小で

始業式→分散登校の予定だったけれど

 今月初め、世田谷区立小の30代の男性教諭は、会議と準備に振り回された。式をどう開くか、授業をどう進めるか-。「地域の状況に合わせてと言われたので、子どもたちの感染を防ごうと、必死に考えてあれこれ準備したのですが…」と語る。

 当初の計画は、こうだ。6日の始業式には全児童が登校し、校庭で校長のあいさつを聴く。教室には入らず、クラスごとに校庭に集まり、あいさつや翌日以降の連絡をして40分ほどで下校。その後、新入生1人につき保護者を1人に限り、体育館で入学式を開く。

 7日以降は午前と午後の「分散登校」に。午前の部の児童は授業の後に給食を食べて下校し、午後の部は給食後に授業をする。授業といっても復習のプリントが中心。休校の扱いとし、出欠は問わない。

 席は隣り合わないよう、ジグザグに配置し、教室に机を並べて確認した。音楽の授業では歌わず、リコーダーもなし。国語では一斉の音読をしない。体育は複数の児童が1つのボールなどを触らないよう、球技や鉄棒はやらない。「体育は個人の縄跳びくらいですかね」と男性教諭は考えていた。

「自宅にPCとプリンター」前提 学力差が出ないか心配

 しかし、世田谷区教委からの通知で3日夕に式の延期と大型連休明けまでの休校が決まった後、7日に緊急事態宣言が出た。学級担任の名前は郵送で各家庭に伝えた。教科書は指定した日に、保護者が学校に取りに来ることになった。

 男性教諭は自宅で娘2人の世話をしながら、再開後の授業計画を練る。算数と国語を中心にプリントを作り、学校のホームページにアップしている。家庭にパソコンとプリンターがあるのが前提で、家庭環境で学力に差が出ることを心配する。延期した行事や授業の制約がどうなるのか、また混乱するのではないか、不安が尽きない。なにより、児童の心理状態が気掛かりだ。

 「うちの子を見ても、家で勉強なんかしない。学校を楽しみにしている。各世帯にマスクを配る何百億ものお金があるなら、児童がつまらない1年にならないよう、行事などに柔軟に使える予算を学校に振り分けてほしい」

評価と授業は一体 「9月に学年スタート」検討しては?

 東京都内の市立小に勤務する新1年生の担任の50代の女性教諭も、未習分を取り戻すために学習計画を立て直し、宿題のプリント作りに追われる。最大の懸念は、子どもと保護者が安心して過ごせているかどうか。「だから、仕事を休まざるを得ない保護者への休業補償を、確実にしてもらいたい」

 文部科学省は10日、休校中のプリントなどの家庭学習も、評価に反映できるとの通知を都道府県教委などに出した。教育評論家の尾木直樹氏は「あり得ない」と批判する。

 「評価は授業と一体で、教えていないことは評価できない。子どもに『成績つけるぞ』と圧力をかけるようなもの。求められるのは、家庭へのタブレット貸し出しの支援や、学年を9月スタートにするなどの柔軟で具体的な施策。トップがぐらぐらで現場任せにすれば、また混乱する」

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