才能のせいで周囲になじめない「ギフテッド」「才能はみだしっ子」に必要なサポートは?

(2021年2月11日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

各国事情に詳しい酒井由紀子さんに聞きました

 生まれつき高い知能や才能を持つ「才能児」や「ギフテッドチルドレン」と呼ばれる子どもたち。学校では「空気を読めない子」「問題児」と扱われ、周囲になじめなかったり、不登校になったりするケースもあるという。その子らしさを生かすサポートの必要性を訴える本「才能はみだしっ子の育て方」(主婦の友社)を昨年秋に出版した酒井由紀子さん(55)に課題を聞いた。

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「才能はみだしっ子の育て方」を出版した酒井由紀子さん

孤独…周りから浮いて孤立することも

 酒井さんはギフテッドの子どもたちのことを、標準的な教育の「箱」に収まりきらず、思わずはみだしてしまう個性を持っているという思いを込め、「才能はみだしっ子」と呼んでいる。

 「同年齢の子どもたちよりも突出した能力がある子どもは『すごい』と万能のイメージを持たれがちだが、実際には悩みが多い」。好きなことをまっしぐらに追究するあまり、周りが見えなくなったり、友達と感覚が合わず、周りから浮いてしまったり。心身のケアが不十分だと、孤独感から不登校や引きこもりになる子も少なくないという。

「繊細で傷つきやすい子どもが多い」

 酒井さんの本業は、中小企業向けの海外事業コンサルタント。友人がギフテッドだったことをきっかけに関心を持ち、米国やドイツなど8カ国の教育事情を取材した。2018年から、世界各国の研究者や教育者が参加する「世界ギフテッド&タレンティッド・チルドレン協議会」の日本代表を務め、専門家とともに本人や家族のための情報提供とネットワークづくりに取り組んでいる。

 「ギフテッドは、繊細で傷つきやすい子どもが多い」と酒井さん。国によっては心のケアをセットにしてカウンセリングにも力を入れている。公立の学校でも理数系の能力だけでなく、芸術やコミュニケーションの能力なども幅広く才能と認め、子どもたちは教員と相談の上、好きな専門分野を自由に勉強し、個性を伸ばす特別プログラムに通うことができるという。

米国で6%が認定 日本なら90万人

 この本の監修者で、愛媛大教授(理科教育)の隅田学さんによると、米国の公立学校で各州の基準に基づきギフテッドと認定されている子どもの割合は約6%。日本の小中高生の数に当てはめると約90万人いる計算だ。

 隅田さんは「教育関係者の理解不足のため、多くの才能児にとって個性や能力を十分に発揮する機会が十分に保障されているとは言い難い」と指摘。児童、生徒に対する教員割合を増やし、才能児にも目配りするよう訴える。「自分のペースで好きなことができる自由な時間と、多様な子どもたちで協働する充実感を共有することが大切」

親は決めつけず「夢中」を見守ろう

 親はどう接すればいいのか。「自分の子が『才能はみだしっ子』でも、そうでない場合でも、個性を尊重し、ありのままのその子を受け止めることが大切」と酒井さん。子どもが夢中になっていることを「社会の役に立たない」などと決めつけず、本人の気持ちを大事に見守るよう呼び掛ける。

 「みんな違っていて当たり前と、家庭から考え方を切り替える必要がある」とも。必要な勉強時間も確保しつつ、子どもと話し合って時間配分など家庭のルールを決めたい。

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