不登校なら、家で学ぶ「ホームスクール」もある 学ぶ意欲が湧く時期は人それぞれ、親は焦らず寄り添って

長田真由美 (2021年2月26日付 東京新聞朝刊)

不登校の先に

 不登校の子どもたちの中には、学校に行かずに家庭で学ぶ「ホームスクール」や「ホームエデュケーション」を選ぶ場合もある。コロナ下でオンライン教材の活用が広がり、一人一人に合った学習も進めやすくなってきた。ただ、学ぶ意欲が出る時期は人それぞれ。親は焦らず、子どもの気持ちに寄り添いたい。

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オンラインやドリル形式など、さまざまな学習の取り組み方がある

中学に行けない、でも進学はしたい…「シューレ」が転機

 神奈川県在住の女子専門学校生(21)は小学6年の秋から不登校になった。「学校が荒れていた。子ども同士のいじめもあって疲れた」。中学に入っても気力が出ず、自宅でほぼ寝たきりだった。「何かしたくても何もできなかった。最初は、親も『学校に行った方がいいのでは』と言っていたけれど、行けないことを受け入れるしかなかった」

 だが、進学はしたかった。親と相談して入学したのは、ホームエデュケーションコースがある通信制高校。一般的な通信制と違い、登校の必要はほぼなく、出されるプリントなどの課題に取り組む。この時期、家庭を拠点に学ぶ不登校家族の支援機関「ホームシューレ」(東京)に出合ったことが転機になった。

親子の信頼関係ができれば、学習への心の余裕が生まれる

 シューレには全国約160家庭が参加している。女子学生は、シューレの交流誌にイラストや近況を投稿するようになり、専用の会員制交流サイト(SNS)を通じて趣味の合う友達もできた。事務局に誘われ、2年生からは交流誌の企画や編集を手伝い始めた。最初は電車に乗ったり、長時間外に出たりするだけで疲れたが、次第に学習への意欲が湧いてきた。

 シューレが開く英語のグループレッスンにも月2回ほど通いながら、4年で高校を卒業。今は「子どもが好き」と保育士を目指している。「中学の3年間を休むことで心が回復した。そこから少しずつ上がっていった感じで今がある」

 シューレのスタッフ矢嶋康平さん(56)は「最初は親からの勉強の相談が多いが、焦って勉強させようとすると嫌いになってしまう」と指摘。不登校を問題視せず、親が子どもをありのまま認め、受け入れることが大事という。「親子の信頼関係ができ、家庭が居心地の良い場所になれば、子どもは本音で話せるようになる。学習に向かおうかという心の余裕も出てくる」と説明する。「子どもの心の変化を細やかに見て、その子に応じたやり方を見つけてほしい」

ホームスクールは欧米では定着 日本は評価制度が未整備

 文部科学省の2019年度の調査によると、不登校の小中学生約18万人のうち、自治体の教育支援センター(適応指導教室)に通っているのは12%、フリースクールなどの民間施設は3.5%。大半は、多くの時間を自宅で過ごしていると考えられる。

相談は増加 学びの選択肢の一つに

 子どもが家で学ぶ意欲を示したらどうするか。NPO法人日本ホームスクール支援協会(東京)理事の佐々木貴広さん(32)によると、ホームスクールは大きく分けて、教科書やドリルなどを使って知識を身に付けるスタイルと、子どもの興味や関心に応じて教育を進めるスタイルの2つがある。いずれも自由度が高く、保護者や近くの第三者が、個性や能力を見ながら柔軟にカリキュラムが組める。

 ただ、多くの欧米諸国ではホームスクールが教育の一つとして認められ、取り組む子も多いのに対し、日本では家庭での成果をどう評価するかなどの制度が定まっていない。同協会は地域のフリースクールなどと連携し、第三者が学習内容を確認する仕組みづくりを目指す。コロナ下でステイホームが求められ、不登校も増加。佐々木さんは「ホームスクールに関する相談が増えている。今後、学びの選択肢の一つとして広まるのでは」と話す。

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