不登校の中学生の支援教室を県立高校に開設 埼玉県教委が初の取り組み
近藤統義 (2022年5月21日付 東京新聞朝刊)
不登校の中学生に学校以外の学びの場を提供しようと、埼玉県教育委員会は20日、県立戸田翔陽高校(戸田市)に支援教室「いっぽ」を開設した。スクールカウンセラーが本人や保護者からの相談に乗るほか、生徒の状況に応じた学習支援もする。
戸田翔陽高校に「いっぽ」毎週金曜
埼玉県教委として初めての取り組みで、2023年度まで2年間のモデル事業として戸田市教委とも連携して実施する。同市立中学校に在籍する不登校の生徒を対象とし、高校内に専用の教室を確保した。
相談に応じるのは毎週金曜の午前と午後の計5時間。保護者が予約した上で来室し、進路に対する不安や心の悩みなどの相談に専任のカウンセラーが対応する。
学習支援は9月から開始予定で、月-木曜に生徒の学習進度に応じて個別指導する。不登校で家庭にいる時間が長いことからボランティアや自然体験の活動も取り入れ、不登校を経験した戸田翔陽高の生徒との交流の場も設ける。
不登校経験がある高校生との交流も
高田直芳教育長は20日の定例会見で「高校内に教室を設けることで高校のイメージを持ち、身近な先輩の姿から将来像を描いてほしい」と期待を寄せた。実施状況をみて、他地域への拡大も検討するという。
埼玉県教委によると、県内の不登校の中学生の数は右肩上がりで、2020年度は6310人に上った。90日以上欠席する長期化の傾向も続いているという。