不登校でゲーム漬け。でもそこで漁師と知り合って… 息子の「好き」を支え続けた母親が、不登校の子どもの居場所を作った

小形佳奈 (2022年4月26日付 東京新聞朝刊)

「自分のペースでやりたいことをして、好きなこと、夢中になれることを見つけてほしい」と話す岸ゆりさん=荒川区で

 東京都荒川区に来月、不登校の子どものための会員制フリースペースが開設される。主宰する一般社団法人「マザーシップ」の岸ゆり代表理事(50)は、学校にも行かずにゲームや釣りに熱中していた長男(20)が、その中で自ら進路を切り開く姿を見てきた。「子どもたちの『好き』を応援したい」と話す。

会員制スペース 本やPC、ゲームも

 開設するのは「フリースペースAoba」。東京都西尾久7のビル2、3階に入る。

 2階は漫画や図鑑、実用書など1500冊が並び、3階にはパソコンやテレビゲーム機、囲碁将棋やボードゲームを備える。その多くが、岸さんの思いに共感した人たちからの寄付という。

「海釣りがしたい」伊豆大島に移住

 岸さんの長男は小学6年の夏、クラス内のトラブルが原因で学校に行けなくなった。昼夜が逆転しゲーム漬けの日々が続いた。中学1年の夏、岸さんが「ゲーム以外にやりたいことはないの?」と聞くと「海釣りがしたい」。毎週末のように房総半島などに通った。一心に釣り糸を垂れる姿を見て伊豆大島への移住を決意した。

 長男は転校先でもあまり登校しなかった。やがてゲームという共通の趣味を通じて漁師と友だちになった。東京都島しょ農林水産総合センターでの職場体験をきっかけに稚魚を類別する研究に没頭した。都立大島海洋国際高校を卒業後、今は石川県で定置網漁の修業をしている。

好きなことから自己肯定感を高める

 岸さんは長男の子育てを通じて「不安はあったが、好きなことをやり抜くことで自己肯定感を高め、次に進める」と実感したという。「フリースペースで好きなことを見つけ進学や就職につなげてもらえたら」

 対象は小学4年~高校3年生で定員20人。開設時間は月~水曜の午後3~7時で利用料は月額1万2000円(保険料込み)。今月30、5月1、3、4の各日に見学会を開く。問い合わせは岸さん=電090(4543)6335=へ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年4月26日

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