横浜市立中の「全員給食」はデリバリー方式に 山中市長が表明 生徒からは「温かさ」望む声も

神谷円香 (2022年8月27、31日付 東京新聞朝刊)
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昼食時にデリバリー型給食を食べる生徒たち=いずれも2021年10月、横浜市磯子区の根岸中学校で

 今後の中学校給食のあり方を検討している横浜市教育委員会は26日、全145校で給食を実施するには、現在選択制で行っているデリバリー方式が「実現可能性が最も高い」との考えを明らかにした。全校で実施したアンケートと給食事業に関心のある事業者を対象にした調査の結果を踏まえ、市議会常任委員会で報告した。30日には就任から1年を迎えた山中竹春市長が定例記者会見を開き、2026年度以降にデリバリー方式で行うと表明した。

給食センター新設は用地確保が困難

 アンケートは6~7月に全校の各学年から1クラスを抽出して行い、生徒約1万3600人、保護者約8500人から回答を得た。事業者への調査は18社が参加。市教委はこれらを踏まえ、現行の選択制デリバリー型給食の提供業者との契約が2025年度で終わった後の方式を検証した。

 検証によると、自校や近隣の小学校で調理する「親子方式」に加え、別の中学校から配送する「きょうだい方式」を加えても約半数の学校が実施困難で、調理をするには市内6カ所に給食センターが必要となる。事業者への調査によると、事業者がセンターの用地を確保するのは難しく、市による確保が前提。一方、デリバリー方式では、工場新設に意欲を示す事業者もあり、既存施設に加えて1~2カ所を新設できれば供給体制を確保できるとした。

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注文し配達されたデリバリー型給食を自分で取る生徒

ただし現行の喫食率は28.8%どまり

 現行の選択制デリバリー型給食の喫食率は7月現在で28.8%。アンケートによると、利用したことがある生徒は約半数で、その理由は「弁当を作る負担を減らしたい」が62%、「便利」が38%。保護者は「弁当づくりが負担」が71%だったほか、「栄養バランスが良い」も52%に上った。

 利用しなかった理由は、生徒は「(家庭で)弁当を用意してくれる」の63%、「家の弁当が好き」の50%に続き「おいしくなさそう」が36%。保護者は「給食を食べてほしいが子どもが利用したくないと言っている」が42%だった。給食を良くするために大切な点は、生徒の53%が「温かさ」、保護者の56%が「栄養バランス」と答えた。

 鯉渕信也教育長は常任委で「しっかりした給食を提供するのが大前提。その上でコストなども意識しながら鋭意検討した。現時点でデリバリー方式が一番実現性が高いと考えている」と述べた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年8月27日

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