横浜市の中学校給食は2026年度から「デリバリーで全員に」 しかし「冷たいおかず」が不評…温かい給食を求める署名に5万人
食中毒予防などが理由 冷やして届ける
横浜市立中では「ハマ弁」と呼ばれた配達弁当を経て、昨年度から選択制のデリバリー型給食が始まったが、生徒から「おかずが冷たい」との不評も少なくない。ご飯と汁物は調理した後、配送時も温かい状態を保っているが、おかずは1つの容器に複数の献立が入ることや食中毒予防などの理由から冷やして届けている。
10月時点で市全体での利用率は28.5%。1年生は35.8%だが、入学時に給食がなかった3年生は18%にとどまる。ただ、市教育委員会は8月下旬、近隣の小学校で調理して配送する「親子方式」や別の中学校から運ぶ「きょうだい方式」などのうち、「デリバリー型が最も実現性が高い」と結論づけた。それを基に策定された中期計画案は、「学校教育法の趣旨を踏まえ、デリバリー方式によりすべての生徒に満足してもらえる給食の提供」に向けた体制を整えるとした。
家庭弁当を重視していた自民が方針転換
横浜市議会では、家庭弁当という選択肢も重視していた最大会派の自民が定例会開会前日、「全員喫食の中学校給食を実現すべきだ」として賛成に回った上で、アレルギー対応や量の問題で生徒の個別状況に配慮するよう、山中市長らに要望した。立憲民主、公明も賛成する方針。共産は全員制を望む一方で、デリバリー方式には反対している。
市内の保護者らによる2つの市民団体は11月、5万人超の署名を提出。「自校などで調理した温かい給食」をあらためて求めた。
山中市長は同月、市立岡野中(西区)を訪れ、保護者6人とともに試食して意見交換。保護者からは「世間がイメージするのは小学校のような給食」「すごくおいしいとは思わないが、毎日これだけ栄養のある弁当は作れない」という声のほか、量の調整を望む意見もあり、山中市長は「より良い給食を届けられるよう取り組む」と述べた。生徒・保護者の満足を伴う全員制に向け、さらなる工夫が問われている。
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