医療的ケア児をどう支えるか、地域みんなで考えよう 「チームやちよキッズ」福田裕子さん 10月9日に八千代市でシンポジウム

保母哲 (2023年10月2日付 東京新聞朝刊)

利用者と会話する福田裕子さん=千葉県八千代市で

 生きるため日常的に医療を必要とする子ども「医療的ケア児」について考える公開シンポジウムが9日、千葉県八千代市で開かれる。主催するのは、地元の訪問診療医や看護師、保健師、ソーシャルワーカーら有志でつくる「チームやちよキッズ」(八千代小児在宅研究会)。その事務局を務める福田裕子さん=看護師、まちのナースステーション八千代統括所長=に、医療的ケア児を取り巻く課題などを聞いた。

国内に2万人 介助するのは主に家族

 医療の進歩で、日本は世界的に「子どもが死なない国」といわれています。新生児集中治療室(NICU)などで、乳幼児の死亡率は低くなりました。一方で、退院後、吸引(口や鼻から吸引器でたんなどを取り除くこと)、胃ろう(腹部に小さな穴を開け、チューブを通して胃に栄養を流し込む方法)などをしながら、自宅で過ごす子どもが増えています。

 医療的ケア児は国内で約2万人、千葉県内では県の2019年調査で、18歳未満が533人、18歳以上が419人とされていますが、実際はもう少し多いでしょう。吸引などを担うのは主に家族。体が弱く、病院に頻繁に通う子もいます。成長とともにケアが必要になる場合もあります。

 常に誰かが付き添わねばならず、親が仕事を辞めざるをえなくなる離職問題や経済的な不安、ケアによる心身の疲れなどがあり、家族だけで担うのは大変。こうした子らを預かったりする施設や訪問看護師は少なかったのですが、最近は少しずつ増えてきました。

支援法施行で受け入れ拡充が責務に

 普通校への進学を希望しても、「ケアできない」と特別支援校を勧められるケースもありました。施設も同じで、「受け入れられない」と断られたりした。「ケア児」が成長し「ケア者」になっても、働ける場が少ないことも問題です。

 2021年に「医療的ケア児支援法」が成立・施行され、状況が大きく変わりました。自治体をはじめ学校や保育所などは、こうした子たちを受け入れるための支援体制が責務となり、看護師らの配置が求められるようになったんです。

 医療的ケア児(者)は人数的には少ないから、あまり知られていないのが現状です。街中で見かけても、機械を装着しているなどで、「関わらないように」という意識が働く場合があると思います。

見守るだけでなくできること考えて

 この子どもたちにも家族の中で役割があって、みんな一生懸命生きていて、それぞれ命の輝きがある。「支えるのは、専門の人や家族にお願いします」ではなくて、そんな人たちを、みんなで支えるようになってほしい。「何かできることはないか」と考えていただきたい。

 例えば災害時などで、医療的ケア児をただ見守ったり避けるのではなく、できることを考えてみる。呼吸器を稼働させるには電気が必要なので、避難所には電源があることや、スペースの確保などを子どもたちのために配慮していただきたい。

 私たちチームやちよキッズは、ケアにまつわる専門職の集まりで2014年に発足。定期的に勉強会などを開いています。公開シンポジウムを開くのは、「多くの人に医療的ケア児のことを知ってほしい」との思いから。こういう子どもたちを大事にする社会であってほしいと願っています。

9日午後、八千代市民会館でシンポ

 「医療的ケア児を地域で支える」をテーマにした公開シンポジウムは9日午後1時半~4時、八千代市市民会館小ホールで開かれる。

 県医療的ケア児等支援センターぽらりすの石井光子センター長の基調講演に続き、ケア児を抱える家族や特別支援学校関係者らが意見交換する。予約不要、入場無料。午前11時からは福祉用具の体験会などもある。問い合わせは、まちのナースステーション八千代=電話047(455)3640=で受け付けている(午前10時~午後4時)。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年10月2日

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  • たかお says:

    私たち一人ひとりにとって、決して他人事ではないと思います。誰にでもどの家庭にでもおこりうることで、他の家族であるのは、本当に偶然だからです。

    まず、医療的ケア児や家族への経済的支援をもっと大きな予算で行なって欲しい。そして、一時預かりの施設や、仕事を親が続けることができるような仕組み(他の兄弟姉妹の為にも)、親がみれなくなったとき、安心して入所できる施設と、職員の待遇改善など、本当に国の行うべき事は多いと思います。安心して子どもを産む事にもつながります。

    個人でできることは限られているかもしれませんが、自分自身にできることを考えるきっかけになりました。

    たかお 無回答 60代

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