俳優 村井国夫さん 自分も女優なのに、誰よりもほめてくれる妻 受賞に号泣してくれた

(2020年11月15日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

家族のこと話そう

写真 俳優 村井国夫さん

(木口慎子撮影)

コロナが家族見つめ直す機会に

 かみさん(俳優の音無美紀子さん)、長女の麻友美(38)、長男の健太郎(35)の4人で暮らしています。新型コロナウイルス感染拡大を受け、これまでになく「密」に家族と過ごしました。あらためて家族を見つめ直す機会になりましたね。

 かみさんは料理好き。昨年ぼくは12月に軽い心筋梗塞と診断され、2週間ほど入院しました。かみさんは心臓に負担をかけないようにと毎回、塩分量を計算しながら食事を作ってくれました。

 その間に掃除、洗濯、犬の世話も。「すごいな。いつもこれを全部やって女優の仕事もしているのか」と今更ながら感心しました。家でできることをやろうと、長女との料理動画や、仲間と歌う動画を撮って発信。入院で足腰が弱ったぼくのため、毎日一緒に10キロぐらい散歩もしてくれました。

かみさんも受賞、うれしかった

 かみさんのどこが好きかって? ぼくのことを好きだっていうところでしょうね。ぼくなんか、ホントどうしようもないやつです。なのに、かみさんは自分のことのようにぼくのことを心配したり喜んだりするから。ぼくの芝居を見に来て、最初に泣きだすのは、かみさんという評判があるくらい。そして「パパが一番よ」って誰よりもほめてくれるんです。

 昨年の入院中、ぼくの紀伊國屋演劇賞受賞の連絡があった時も、かみさんは喜びの余り病室で号泣していました。10日もたたないうちに、今度はかみさんが(文化庁芸術祭賞演劇部門優秀賞を)受賞したんです。かみさんにとって初めての賞。彼女は元々実力があるのに賞に縁がなかったので、ぼくもすごくうれしかったです。

長男、長女も俳優 大変な時代

 新型コロナの影響で、演劇界は閉塞(へいそく)感に覆われました。表現する場がない、仲間と芝居の話もできない。そんな中、日常が失われていくような、自分の存在理由すら分からなくなるような不安を感じました。本当にすてきだった仲間の自死も相次ぎ、何とも言い難いつらさがありましたね。

 長女、長男も俳優の道を選びましたが、今は「新しい生活様式」が必要とされます。たくさんお客さんを入れることがリスクにつながるわけですから、演劇界を取り巻く状況は、以前と同じというわけにはいかないでしょう。2人には「大変な時代になる。覚悟しておけ」と言いました。

 どう克服するか。とにかく芝居を続けるしかない。コロナ自粛で落ち込んでいたぼくも稽古が始まって元気になり、やっぱりこの仕事が好きと実感しました。子どもたちにも、自分の信じる道を強く進んでほしいです。

村井国夫(むらい・くにお)

 1944年、佐賀市出身。1966年、映画デビューし、テレビや舞台でも活躍。12月24~27日、すみだパークシアター倉(東京都墨田区)で、ダム建設反対運動で国を相手に闘い続けた男性の半生と夫婦愛を描いた「砦(とりで)」に出演。26、27の両日は売り切れ。問い合わせはトム・プロジェクト=電話03(5371)1153(平日午前10~午後6時)。

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