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劇団四季の舞台俳優 松山育恵さん 音大進学に反対した父、今は…

三浦耕喜 (2019年4月7日付 東京新聞朝刊)

家族のこと話そう

写真

(松田雄亮撮影)

スポーツ好き小学生 バレエ教室で負けず嫌いに火が付いた

 名古屋で上演中の「ノートルダムの鐘」に出演しています。両親とも大の城好きで、私の公演を見がてら、名古屋城も小牧山城も回りました。

 バレエを始めたきっかけは、6歳年上の姉が始めたことです。母は劇団四季のファンで、姉は舞台を見て「やりたい」と。小学1年だった私は、スキーなどのスポーツが好きでした。でも、姉の送迎について行き、レッスンの様子を見ていたんです。

 そこは熊川哲也さんを教えている久富淑子先生の教室で、熊川さんのいとこも習っていました。まさに「バレエ一家」です。そこに私も通うようになりました。

 正直、小学3年くらいまではバレエはそこまで好きじゃなかった。でも、負けず嫌いなんです。自分でも下手だと思って、レッスンを増やしてもらいました。次第に、お芝居のように体で表現するモダンバレエの方が好きになりました。けれども、踊るスキルがない。それが悔しくて、本気に火が付きました。

「四季に入れなかったら…」と反対した父、今は欠かさず応援

 一方、クラシックバレエでの勝負は無理だと悟ったのは、中学2年の頃、ロシアで指導を受けた時のことです。世界のレベルの高さを肌で感じた。でも、踊りはやめたくなかった。それでモダンバレエやミュージカルを目指すようになりました。それで昭和音楽大に進みました。

 父は昭和音大に入ることには反対しましたが、私は「劇団四季」に入って、ミュージカルの世界に行くことしか興味がなかったのです。父は「四季に入れなかったらどうする」と言いましたが、4年制大学だし、大卒の資格も得られる。「ダメだったら就職する」と父を納得させました。年1回の発表会にも欠かさず来てくれて、応援してくれるようになりました。

父とサシ飲み 「この先どうするんだ」と話せる幸せ

 四季に入団して9年目です。つくづく自分のことを知る大切さを思います。自分ができることと、やりたいことが懸け離れていると、理想ばかりで現実がない。その二つがちゃんと合ってくると、チャンスが巡ってくる。周りからも信頼されるようになる。

 今は自分のやりたいことと、自分ができることが、自分の中で整理されてきた。自分が今後どうするのか。この声、この容姿が、どういうキャラクターとなって、劇団に必要とされているのか。それを考えていかないと。

 先日、父と2人で飲みました。「この先、どうするんだ」と聞かれました。女性としての生き方も、俳優として生きる道もある。父が言うには、「人に教える道も向いていると思うよ」と。母とはしょっちゅう電話していますが、父と話せて良かった。そう思っています。

まつやま・いくえ

 北海道出身。2011年、昭和音大在学中、劇団四季に合格し、入団。現在、名古屋四季劇場で公演中のミュージカル「ノートルダムの鐘」(原作ビクトル・ユゴー)で、ロマの踊り子エスメラルダを演じる。これまでにも「キャッツ」「美女と野獣」「コーラスライン」などに出演した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年4月7日