シンガーソングライター Kさん 父が音楽の道に反対した、本当の理由

(2018年1月14日付 東京新聞朝刊)

家族のこと話そう

写真はデビューのきっかけや家族について話すKさん(稲岡悟撮影)

デビューのきっかけや家族について話すKさん(稲岡悟撮影)

音楽との出合いは教会で

 高校1年生の時、友達に誘われてソウルの実家近くの教会に行きました。そこで、バンドの演奏を見て感動しました。その教会は少し変わっていて、ラップを取り入れた賛美歌を歌ったり、バンドのポップス演奏があったり。音楽ってこんなに素晴らしいのかと感じ、毎週のように通い、楽器を教えてもらったり、歌を披露したりもするようになりました。

 両親には教会に行くと言っていたので、歓迎してくれていました。でも、音楽と分かると、母は応援してくれましたが、父は反対。父は警察官で厳しく、理由も言わず「音楽はやめなさい」と言い、ヘッドホンを付けて電子ピアノを弾いていると、カタカタという音が気になるのか「うるさい」と怒られました。

 でも気にしませんでした。プロになれるという妙な自信があって、父に黙ってオーディションにも挑戦しました。高校1年から3年まで十数回受けましたが全部落ち、卒業近くになって初めて受かりました。

今では「本当に分かり合える人」 

 合格した後、事務所との契約がありました。高校生の僕には父の同意が必要で、反対すると思っていましたが、意外なことに許してくれました。その日、父と2人で食事に出かけ、なぜ反対しなかったのか聞くと、父は自分も若いときに歌手を目指していたと明かしました。当時、周りからはうまいと評判だったようですが、オーディションには受からず諦めたそうです。それで僕に、少しうまいぐらいではプロになれないと伝えたくて、反対したと。

 そこから父は、それまでと打って変わって応援してくれるようになりました。僕の出るテレビ番組は全部録画し、雑誌の切り抜きもファイルしてくれています。日本デビューを持ち掛けられて悩んだ時も「諦めて後悔するんだったら、行って失敗した方がいい」と背中を押してくれました。本当に分かり合える人と思っています。

イクメンとは言えないけれど

 妻(タレントの関根麻里さん)と結婚すると伝えた時は、待ってましたとばかりに喜んでくれました。娘が生まれてからは、テレビ電話だけでなく頻繁に日本に来ます。

 お義父(とう)さん(関根勤さん)もよく家に来てくれます。NHK・Eテレの番組「いないいないばあっ!」の中の「ほめられちゃった」という曲は、お義父さんが作詞、僕が作曲しました。妻や娘にも聞かせて反応を見ながら進めました。子どもは正直ですから。

 なかなか子育てや家事はできなくて、イクメンとは言えません。でも、できるだけ妻のサポートをしたいと思っています。

ケイ

 1983年、韓国・ソウル市出身。2004年に韓国でデビューし、翌年「over…」で日本デビュー。今年1月には6枚目のアルバム「Storyteller」を発売した。

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