「スポーツ鬼ごっこ」広がる魅力 競技人口も増加中 2000年代後半に日本で誕生、全国大会も

杉原雄介 (2023年6月3日付 東京新聞朝刊)

円筒状のトレジャーを巡る攻防が繰り広げられるスポーツ鬼ごっこ=さいたま市見沼区の大宮武道館で

 子どもの遊びの定番である鬼ごっこに、競技性を加えてアレンジした「スポーツ鬼ごっこ」の人気が、埼玉県内で徐々に高まっている。全国大会でも活躍する「さいたまスポーツ鬼ごっこ愛好会」(さいたま市見沼区)の代表で、競技の普及にも励む佐野大(ひろし)さん(44)は「男女で一緒にできるのが魅力。運動に苦手意識のある子どもにも挑戦してもらい、体を動かす楽しさを知ってほしい」とアピールする。

10分間「トレジャー」獲得で得点勝負

 スポーツ鬼ごっこは、10分間の試合時間内で得点を競うチーム競技。コート内に選手が7人ずつ入り、敵陣に置かれた円筒状の「トレジャー」を相手より先に取ると1点獲得となる。トレジャーを守る選手は攻めてくる相手選手を両手でタッチすると、敵陣まで戻すことができる。

 攻撃側をトレジャーに寄せ付けずに守り切るための視野の広さや、守備側を一気に抜き去る足の速さ、瞬発力が求められ、佐野さんは「サッカーやバスケットボールなど、他のスポーツで生かせる力も身につく」とメリットを挙げる。

 佐野さんが愛好会を立ち上げたのは2015年。公園に集まってもゲーム機で遊んでばかりの子どもたちを見て「楽しく体を動かせる機会をつくりたい」との思いを募らせていたという。スポーツ鬼ごっこに目を付けたのは「特別な技術がなくても、手軽に楽しめるから」だ。

 口コミで競技の面白さが広まり、愛好会のメンバー数は少しずつ増加。現在は市内の小学生を中心に70人ほどが所属し、男女比はほぼ半々。当初の指導者は佐野さんだけだったが、2021年からは新たに、保護者の後藤真郷(まさと)さん(44)がバスケットボール経験を買われてコーチに就任した。

埼玉でチーム増加 全国3位の実力も

 スポーツ鬼ごっこは県内の他市町にも広がりつつある。佐野さんが積極的に出張体験会を開いてきたこともあり、上尾、川越、白岡市などにもチームができた。

 愛好会の練習では、子どもたちが元気いっぱいにコート内を駆け回り、互いに声を掛け合う。さいたま市立大谷(おおや)小6年の栗田凌輔君は「みんなで作戦を立て、それぞれのポジションで一生懸命やりながら協力するのが面白い」とチームワークを競技の魅力に挙げる。後藤さんの長女で、同大砂土(おおさと)東小6年の心春(こはる)さんも「いい運動になるし、男子と一緒にできるのもいい」と話す。

 実力も伸び盛りだ。昨年の県大会は9歳以下の部(6チーム)で優勝、12歳以下の部(7チーム)で準優勝。今年2月の全国大会では、9歳以下の部で15チーム中3位に輝いた。

 後藤さんは「県内でスポーツ鬼ごっこがもっと広まれば、より切磋琢磨(せっさたくま)しながらレベルを上げていける」と話し、多くの子どもたちに競技を知ってもらうことを願っている。

スポーツ鬼ごっこ

 鬼ごっこ協会(東京都世田谷区)によると、子どもに運動を楽しんでもらおうと2000年代後半に日本で誕生。2012年から全国大会が開かれ、2019年の茨城国体でデモンストレーション競技に初採用された。現在の国内の競技人口は約10万人で、愛知県や茨城県などで盛んだという。協会の公認団体は全国で110団体あり、うち埼玉県内は14団体。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年6月3日

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