子どものスキンケア 皮膚は「一番大きな臓器」 バリアー機能が弱い成長段階、夏のトラブルを避けるには?

熊崎未奈 (2024年8月27日付 東京新聞朝刊)
 日差しが強く、汗をかきやすい夏は、皮膚のトラブルも起きやすい季節。子どもたちに知っておいてほしい皮膚の知識やスキンケアの方法について、東京の国立成育医療研究センター皮膚科診療部長、吉田和恵さんに聞きました。

日焼け対策も日光浴も大事

-子どもの皮膚は大人とどう違うのでしょうか。

 子どもの皮膚はまだ成長段階にあり、大人に比べてバリアー機能が弱いです。角層を含む外側の表皮の部分が薄いので、かゆみやかぶれの原因になる異物が入りやすい。皮膚の中の水分量や皮脂も少ないので乾燥もしやすいです。

 夏の皮膚のトラブルは例えば、汗をかきやすいことで起こります。汗は体温調節や肌のうるおいを保つ役割もありますが、放置すると塩分などが残ってかゆみやかぶれの原因になります。また、夏はプールでとびひなどに感染することも。そして、日焼けにも気を付けないといけません。

-なぜ、日焼け対策は大事なのでしょうか。

 紫外線(UV)は皮膚にダメージを与え、たまっていくと将来、皮膚がんになるリスクもあります。大人になってからのしみやしわの原因にもなります。特に午前10時から午後2時の間は紫外線が強いので、外に出るときは日焼け止めを塗ったり、長袖を着たりして皮膚を守ってください。日焼け止めは、「ノンケミカル」や「紫外線散乱剤」と書かれている子ども用の製品を選ぶといいです。

 一方で、紫外線は骨を作るのに必要なビタミンDを合成します。適度に日光を浴びることも必要です。

治りにくい金属アレルギー

-夏はイベントが多く、メークをしたり、アクセサリーをつけたりして出かける子もいます。皮膚には影響がありますか。

 金属でできたアクセサリーだと、金属アレルギーを起こしてかぶれることも。一度なってしまうと治りにくい。素肌につけて汗をかくと、金属が溶け出してアレルギーを起こしやすくなります。金属アレルギーのリスクを考えると、子どもが直接素肌につけるのはあまりおすすめしません。

 メークに関しても、化粧品には保存のための薬剤などさまざまな化学物質が入っていて、子どもの皮膚には刺激になることがあります。もし化粧をしたら、メーク落としと洗顔をすることも忘れないでください。

吉田和恵さん

洗い方に注意、保湿も必要

-皮膚のトラブルを防ぐために普段どんなことに気を付けたらいいですか。

 皮膚は汚れにさらされやすいので、きちんと洗いましょう。せっけんを泡立てて、手で優しく洗うといいです。わきや首元など、しっかり洗い流すのも大事。せっけんが残っているとかぶれの原因になることもあります。お湯はぬるめで十分。熱すぎると、皮膚を守る皮脂も流れ落ちてしまうからです。

 水分が残っていると皮膚がただれることもあるので、柔らかいタオルで押さえるように拭きましょう。保湿も大切。夏はクーラーでも乾燥します。肌が乾燥しやすい人はティッシュが肌にくっつくくらいクリームなどを塗るといいです。

-皮膚を守ることは大切なのですね。

 全身を包む皮膚は、「一番大きな臓器」と言われています。触れたり、見たりして、自分でも状態が分かる。おかしいなと思ったら、早めに病院に行くことも大事です。例えば、アトピー性皮膚炎は新しい薬が出て、治療の選択肢も増えています。「どうせ治らないや」とあきらめないで、お医者さんに相談してほしいと思います。皮膚を子どもの頃から大切にしておくことは、将来の自分にもつながります。しっかりとケアしてほしいと思います。