第4子パパ初育休~口唇裂の子を迎えて(5)得られたもの

山口哲人 (2018年1月25日付 東京新聞朝刊)

 2カ月間の育児休業で得た最大の成果は、家事や育児に対する私(37)の意識が根底から覆ったことだ。以前は「俺は仕事で疲れているんだから妻の役割だろ」と、旧来型の思考回路だった。だが実際に経験してみると、外での労働に匹敵する、または、それ以上に評価されてもいいと感じた。大変さは「早く職場復帰したい」と願うほどで、2カ月で体重が7キロ落ちた。

「育休中に資格取得の勉強も」は幻想に終わった

 育休中に宅地建物取引士など資格取得の勉強もできると高をくくっていたが、幻想に終わった。家事と育児は絶え間ないのだ。


〈前回はこちら〉(4)待ち受ける手術 意外な「私もそうでした」


 常に上の3人の子どもたちに、体力をからめ捕られる。余力があれば生後間もない第4子の三男ともふれ合いたい。洗濯、掃除、料理はエンドレス。長男(8つ)が高熱を出すなど突発的な出来事もあった。わが家では1人が病気になると、大体いつも全員に広がる。口唇裂(こうしんれつ)があり、唇の整形手術を控えていた赤ちゃんにうつしてはなるまいと、これまた心労が募った。

「育児や家事は妻の役割」はもはや通用しない

 核家族化が進み、女性の社会進出も当たり前となった今、育児や家事は妻の役割という考え方は通用しない。それでも多くの夫は、必要とされていることに気付いていない。いや、知らんぷりを決め込んでいるのかもしれない。

 会社や同僚に迷惑がかかる、自身の出世にも影響する、家計は苦しくなる、育児も家事もどうかかわってよいのか分からない-。さまざまな理由で、男性は育休を敬遠する。

 国のリーダーたる国会議員と雑談しても「男が育休を取るなんて、俺たちの時代では考えられなかった」と批判的な人もいまだに存在する。次男(6つ)が通う幼稚園では、あるママに「育休を取らせてくれるなんて本当に良い会社ですね」と感動された。裏を返せば、男性の育休が社会に浸透していない証しだ。

 厚生労働省の2016年度の調査でも、男性の育休取得率は3%あまり。しかも取得期間も調べている15年度調査では、最も多いのが、わずか「5日未満」(約57%)。次が「2週間未満」の約18%で、ほとんどが短期取得だ。

 育休中、私があり合わせの物で作った料理にも、長女(11)は「お父さん、ご飯おいしいよ」と、気遣いできる子に育っていた。赤ちゃんのおむつ交換もお手のもので頼もしかった。長男は習い事のスイミングで4つの泳ぎ方をマスターし、サッカーもめきめき上達。次男は育休中に字の読み書きができるようになった。

写真は家族みんなの人気者となった第4子=東京都内の自宅で

家族みんなの人気者となった第4子=東京都内の自宅で

 2カ月という短い期間でも、子の成長を実感するには十分だった。赤ちゃんとも生後間もない時期を一緒に過ごすことができた。

子の成長、しっかり実感 「育休は取らなきゃ、もったいない」

 妻(37)からは「里帰り出産をした、上の3人の時より楽だったよ」と言われた。一度は孤独な育児で「鬼」と化した妻は、再び「天使」に戻るか。それは、育休後も育児や家事にしっかり向き合えるか、これからの私の頑張り次第だ。

 育休で得られたものは大きい。仕事に追われる世の中のパパに伝えられることがあるとすれば「育休は取らなきゃ、もったいない」。=おわり

入社12年目の政治部記者(37)が、昨年7~9月に育児休業を取得しました。典型的な仕事人間だった筆者の奮闘を、5回にわたり連載しました。

〈さらに…続きはこちら〉(反響編)

5

なるほど!

42

グッときた

8

もやもや...

11

もっと
知りたい

すくすくボイス

  • マルコ says:

    育児とは家族の力を育てていくものだと感動いたしました。家族で力を補いあう姿勢が心を育み、安定した家庭へと導いてくれると諭された思いです。
    なんらかの障害のある人は沢山います。福祉や医学の進歩だけでなく、昔にくらべ世間の寛容さも拡がっているように思います。人手が欲しいと頼べば手を差しのべてくれる人々や組織もあります。
    四人の子育ては大変です。夫婦で支え合って今日一日を乗り越え、ひと月経ち、半年、一年、三年、五年と経てば先が見えてくると思います。笑顔と笑いのある毎日を過ごされますように。
    人生の先輩からエールを贈ります。

    追伸❗️言葉のイメージ
    育休は休暇をイメージさせる響きですね。→→育児責任を感じさせる言葉をつくりたいですね。

    マルコ 女性 60代
  • 匿名 says:

    素敵な体験を、全てのパパママに届けたいですね。
    男性の育休の普及浸透の次は男性の介護休暇の普及浸透です。
    少子化の現在、夫婦二人には四人の親が居ます。長寿社会の中、要介護の手前であっても自力している親がどのくらい存在しているのだろうか?
    きっと、育休に意義を感じた方々は介護休暇の必要性を理解してくれると、未来に希望が持てます。時代はは少しづつ変わっているのですね……

      
  • 匿名 says:

    包み隠さない体験を書いて下さり、有り難うございました。
    本当に育児はエンドレスで、大変です。
    私は、71才で、子育ては終わってますが、主人が、大きな子供なので、毎日が、大変です。
    毎日、客が来てるのと同じで、食事が遅くなると自分は何を食べればよいのかと、私に詰め寄ります。
    死ぬまで、こんな生活かと思うと、早く死んだほうが、いいなんて思う事も有ります❗
    貴方は、育休を取って
    主婦の大変さを早くに気が付き良かったと、思いました。
    これからも家族を大切になさってください、

      
  • 匿名 says:

    うちの息子は口蓋裂でした。GCUも経験しました。一歳になるまでに体重を増やすのに必死でした。当時4歳だった娘が赤ちゃん返りをしていたし、実家には認知症の母が一人暮らしをしていて頼る所はほとんどなく気がおかしくなりそうでした。
    こちらの記事を読んでてあの頃を思い出しました。
    息子は手術を受けてから口蓋裂には何の問題もありません。うちの子は知的障害があり言葉が話せません。だから発音や発語の問題というのがわからず今は定期検診に行く理由もなくなりました。
    色々なことがありあの頃は、なんで私ばかりこんな苦労をしなくちゃいけないの?!と自分の運命を嘆いたこともありました。でも、息子を通してたくさんの出逢いがあり今まで知らなかった世界を知ることができました。
    息子が11歳になり今思うことは、当たり前が当たり前じゃないこと、全ての出来事は必然で見る角度を変えれば全てが自分の学びになるということです。なんて言いながら聖人君子にはなれず今日も口うるさい母になります(笑)
    とっても素敵な記事でした。今日からまた頑張れそうです。記者さん、お互いぼちぼち子育て頑張りましょう♪

      
  • 匿名 says:

    我が家の第4子は、13トリソミーと言う染色体疾患を持って産まれました。
    お腹の中では分からず、出産してはじめて、たくさんの奇形(口唇口蓋裂、多指(趾)症)、外耳道閉鎖症、小耳症)と呼吸障害があったため、緊急搬送され、一ヶ月後に染色体の検査で13トリソミーが分かりました。
    8ヶ月ですが、体重はまだ5キロありません。心疾患や、内蔵疾患も色々とあるので体重が増えすぎるのも良くなくて、口唇の手術もまだ予定されていません。ずっと経管栄養でミルクを注入していて、お口から飲めたのはNICUにいた1ヶ月だけでした。
    日々医療的ケアが必要な我が子なので、主人の協力は必要不可欠です。13トリソミーは1歳まで生きられる子が10%とも言われているので、この事の時間を大切に、と考えているので主人も率先してやってくれるし、楽しんでいるみたいです。
    手がかかるし、成長がゆっくりな分とーっても可愛くて、今が一番幸せだなーとしみじみ感じます。生まれたばかりの時、見た目の違いを気にしていた自分がバカバカしくて、恥ずかしいです。
    障害を持つ子(人)が偏見を持たれてしまうのは、こちら側がそう思われるんじゃないか、とか、恥ずかしいとか言う思いをどこかしらに持っている事がひとつの要因なんじゃないかと思います。障害の有無に関わらず、もっと皆我が子はこんなに可愛いんだ、と、他の子供達と同じように愛しいのだと世の中に出してあげたら良いと思うんですよね。
    なんだか、言いたいことが良く分からないですが、4姉弟(うちは4姉妹です)にいっぱい愛情注ぎましょう!今をその瞬間を生きて、楽しんで。

      
  • 匿名 says:

    うちの旦那に爪の垢を煎じて飲ませたい。自営業で土日祝日も休まない。結局、下の子産んで退院したその日から家事育児に追われてる。それでも、上の子が保育園行ってる間は少しは休めるが、土日祝日と三連休ともなれば、骨盤ぐらぐら状態で新生児連れて外に出歩く訳にも行かず、上の子を3日間も引き籠もり生活させなければならなくて申し訳ない限り。
    買い物も、ある程度の食材は宅配して貰っているけれど、足りない分は買い出しにいかねばならない。旦那の仕事の都合で上の子のお迎えに行けないときは私が行かなきゃいけない。
    せめて、産褥期の間ぐらいは毎日半休にして欲しかったなぁと思う。働かなければ、自営は保証がないから収入は激変するけど。

      
  • 匿名 says:

    読んでいて涙が流れていきました。
    女であっても出産するまで、母親になった友だちの苦労を目の前で見て「母として当たり前」と思っていました。子育ての大変さは体験しないと分からないです
    ね。この記事をぜひすべての男性と出産してない女性に読んで欲しいと思いました。出産祝いは常態化していますが、本当に必要なものは「モノ」ではなく家族の時間だと思いました。

      
  • 匿名 says:

    これから妻が出産を控えています。
    初産で里帰りのため、妻いわく旦那は出番なしとの事でした。
    自宅から車で六時間の距離ということもあり、はなから私にできることはないんだと思い込んでいましたが、これこら自分に出来ることを探します。

      
  • 匿名 says:

    せっかくの素敵な記事を読むのも結局はママたちなんだろうな。読んでほしいパパたちがこの記事にたどり着くことはほとんどなさそう。

      

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