生後6カ月~4歳用のコロナワクチン、10月24日に接種開始 有効性や安全性は?

榊原智康 (2022年10月9日付 東京新聞朝刊)

写真 ワクチン接種

 生後6カ月から4歳の乳幼児を対象とした米ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンの接種が10月24日から始まる。4歳以下に使える新型コロナワクチンは国内で初めて。有効性や安全性などポイントをまとめた。

接種回数は3回 オミクロン株に対応

  どんなワクチンなの?

  9月から接種が始まったオミクロン株対応ではなく、中国・武漢で当初流行したウイルスを基にした「従来型」と呼ばれるもの。従来型の接種1回あたりの有効成分量は対象年代によって異なる。12歳以上用が30マイクログラム(マイクロは100万分の1)、5~11歳用は10マイクログラムだが、生後6カ月から4歳用は3マイクログラムと少なくなっている。

  生後6カ月から4歳用の接種回数は?

  3回。最初に接種してから原則3週間後に2回目を打つ。3回目は、2回目から8週間以上の間隔を空ける必要がある。

表 ファイザー社製新型コロナワクチン(従来株対応)の有効成分量と接種回数の違い

  効果は?

  ファイザー社の臨床試験では、ウイルスの働きを抑える中和抗体の量を調べたところ、16~25歳がワクチンを打った場合と同程度の上昇が確認できた。オミクロン株に対する発症予防効果は73.2%と報告されている。

副反応はほぼ軽症 発熱や腕の痛み

  安全性は?

  臨床試験では、発熱や腕の痛みなどの副反応が報告されたが、ほとんどが軽症という。ファイザー社のワクチンの添付文書によると、臨床試験での3回目接種後に38度以上の発熱があったのは、生後6カ月から2歳未満で6.8%、2~4歳で5.1%だった。国の審査を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)は「現時点で得られている情報からは安全性に重大な懸念は認められない」と結論づけた。

  「努力義務」が課されると聞いたけど。

  厚生労働省の分科会で適用する方針が決まった。ただ、努力義務は「接種を受けるよう努めなければならない」という意味で、接種は義務ではなく個人の判断に委ねられる。子どもの接種の場合、保護者を対象に協力を求めることになる。

熱性けいれんの経験がある子は注意

  この年代の子どもたちへの接種は、海外でも行われているの?

  米国では接種を推奨している。カナダは推奨はしていないが、打つことはできる。イスラエルでは慢性疾患を持つなど重症化リスクが高い子どもへの接種を推奨している。欧州では接種は行われていない。

  注意点は?

  厚労省などによると、流行の第7波が拡大した今年7月以降、小児で重症・中等症になるケースは5歳未満が約6割を占め、急性脳症やけいれんなどの症状が多かったという。小児の感染症に詳しい愛知医科大の森島恒雄客員教授は、ワクチンの発症予防効果などから「この年代への接種について十分に意義はある」と指摘する。

 ただ、この年代の子どもは熱性けいれんを起こしやすいとし、副反応への十分な注意が必要と説明。高熱を出しやすかったり、過去に熱性けいれんを起こしたりした子どもの場合は「主治医に相談した上で、接種するかどうか判断してほしい」と話している。

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