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保育士不足は「配置基準の緩和」で解消されるのか 現場から不安の声 参院選の各党公約は?

(2019年7月17日付 東京新聞朝刊)
 都市部を中心とする保育士不足に対応するため、政府が保育士の配置基準や資格の要件を事実上緩和する制度を4月に導入した。待機児童対策の特例措置だ。保育の質の低下や子どもの安全への影響を心配する声は現場に根強く、制度の活用に向けた動きは一部にとどまる。

保育士に守られながら野外活動で外出する園児ら=東京都世田谷区で

園児50人を保育士7人で 「高い専門性が必要」

 東京都世田谷区の認可保育所「成城つくしんぼ保育園」では6月中旬の午前、園児50人が数百メートル離れた畑にジャガイモ掘りに歩いて向かった。「前から車が来たよ。壁にぺたんとくっつこうね」。7人の保育士は子どもの動きを予測しながら目的地まで導いた。

 布川(ふかわ)順子園長は「保育士には高い専門性が必要だ」と強調。「有資格者を国の基準より手厚く配置することで保育が成り立つ。要件緩和の動きには現場でも懸念がある」と話す。

4割が保育士資格なくても、認可並みの運営補助

 政府は4月、東京圏(東京都、神奈川県、千葉市、成田市)、愛知県、関西圏など全国10の国家戦略特区を対象に、保育士数が国の基準を満たせなくなった認可保育所を認可外施設に変え、認可並みの運営補助を続ける枠組みを新設。職員の4割は保育士資格がなくても働けるようにした。

 安倍政権は制度を成長戦略の一環に位置付ける。女性が働きやすくなり、企業が保育事業に参入しやすくなる効果を期待している。だが、従来の保育政策には逆行する。厚生労働省は認可外施設の認可化を進めてきた。同省保育課は制度について「保育士が集まるまでの緊急措置。再び認可化する前提だ」と説明する。

「無資格者が増えれば、園児への危険が増す」

 この特例措置を受ける場合、対象施設のある都府県や市が計画を政府に提出し、認定を受ける。厚労省によると、現状では制度の活用に前向きな自治体は大阪市だけだという。

 保育に詳しいジャーナリストの小林美希氏は「現場で保育士が減り、無資格者が増えれば、保育士の負担や園児への危険が増す。本来、必要職員は全員が有資格者であるべきだ」と現場の声を代弁する。「政府は着実な処遇改善と配置基準の厳格化で保育の量と質を確保すべきだ」と求めた。

「質の向上」各党が公約しているが…乏しい具体策

 各党は参院選で保育士の確保や質の向上をこぞって公約した。規制緩和に頼らず保育の量と質を確保する具体策には乏しい。

 自民は処遇改善、保育士の確保を明記。公明は結婚・出産後も仕事を継続できるよう、代替職員の確保支援や産休・育休を取得しやすい環境整備を唱える。

 立憲民主は「保育の質の向上」を掲げた。国民民主も保育士の賃金を引き上げるとした。共産、社民は月5万円と賃金の上げ幅を明示した。日本維新の会は、さらなる保育の規制緩和を主張。保育士の資格がなくても一定の研修を受けた人を「保育サポーター」に認定し、保育士の業務を補えるようにする制度を提案した。

 政治団体「れいわ新選組」の山本太郎代表は「保育士の処遇改善、希望者の公務員化が必要だ」と本紙に語った。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年7月17日