ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢さん お金をためられない私が、貯蓄80万円でマンションを買ってしまって…

(2022年5月8日付 東京新聞朝刊)
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ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん(本人提供)

家族のこと話そう

社会人3年目、深く考えずにローンで

 会社員の父と専業主婦の母の元で、三姉妹の長女として育ちました。父はコピー機の営業マンでそれなりの稼ぎがあり、ごく一般的な家庭でしたが、母は「子ども3人を大学に行かせるのは大変」と繰り返していました。大学も最初の就職先も、実家から通えるところを選びました。

 私は今でこそファイナンシャルプランナー(FP)というお金に関する仕事をしていますが、もともとお金をためられない人。自分の給料は全部、お小遣いのように使っていました。転機は社会人3年目の時。一人暮らしを始めようと実家近くの新築マンションを買いました。実家は3LDKのマンションで、5人で暮らすには部屋数が足りず、いつか出なくちゃいけないと思っていたので。たまたま不動産のチラシを見て、深く考えずに買っちゃったんです。

 マンションを買うと、住宅ローンの事務手数料や登記にまつわる費用など、物件価格以外にもいろいろとお金がかかります。当時の私はそんなことは全く知らず、貯蓄もわずか80万円。このままではまずいと思って、ローンや保険など、お金の仕組みを必死で勉強しました。知識を得るほど世の中の仕組みが分かり、面白かったですね。

保険外交員の母と相談、保険を見直し

 ローンを組むと、団体信用生命保険がついてくると知り、これを機に自分の保険を見直そうと思いました。母は当時、妹の進学費用の準備のため保険外交員として働くようになり、私にも自分が扱う生命保険や医療保険を掛けてくれていました。「この保険は必要?」などと母に相談し、私が良いと思った他社の保険について話すと、母も同意してくれて、乗り換えることになりました。

 その後、母は当時勤めていた保険会社を辞め、私が乗り換えた会社に転職したんです。商品を売った時の稼ぎは前の会社の方が良かったようですが、より共感できる商品を扱う会社で働きたいと思ったみたいです。母はお金に潔癖なところがあって、私が実家に帰ると、相手が娘でも交通費を渡さないと気が済まないぐらい。自分が納得できないお金は受け取りたくない、というタイプの人ですね。

 父は一昨年に亡くなりましたが、偉ぶるところがなく、人と会ったり話したりするのが大好きで、とにかく働き者でした。私はFPとして独立するまで、最初の就職先でシステムエンジニア、転職先の東京の不動産会社ではマンション販売の営業職として働きました。いずれも男性社員ばかりのハードな職場。大変だなと思いながらも乗り切れたのは、「父の血を継いでいるんだから、やれるんじゃないか」という気持ちがあったからでしょうね。

風呂内亜矢(ふろうち・あや)

 1978年生まれ、岡山県出身。IT企業、マンション販売会社勤務を経て、2013年にFPとして独立。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。多数のメディアに出演するほか、YouTubeチャンネル「FUROUCHI vlog」で日常をつづりながらお金の知識を伝える。

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