体操の元日本代表 寺本明日香さん けがを報告するたび、お母さんは泣いていた

古根村進然 (2023年6月25日付 東京新聞朝刊)
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家族について語る寺本明日香さん(今泉慶太撮影)

カット・家族のこと話そう

3人家族 にぎやかというより穏やか

 私は一人っ子で家族は3人です。にぎやかな家庭というより、互いに穏やかな間柄かもしれません。お父さんは大阪府の出身。航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)所属の自衛官で、物資の輸送などを担っているそうです。口数は多くなく優しい性格で、私は子どもの頃から怒られたことは一度もありません。

 一方、愛知県出身のお母さんはハキハキとした人柄。私の教育に比較的多く関わったのはお母さんで、フィギュアスケートや水泳など私がやりたいことを経験させてくれました。体操もそのうちの一つです。「鉄棒を習いたい」と言ったらインターネットで体操教室について調べてくれ、出合ったのが名古屋市のレジックスポーツでした。

 小学校低学年の頃、電車で体操教室に通うのが嫌で泣くと、お母さんに「行かないなら体操やめなさい」と叱られたことがあります。でも、そばで支えてくれたのもお母さん。食事に気を使ってくれ、けがの時は自宅から体操教室までの送り迎えも担ってくれ、成績が落ちることへの不安があるときは、買い物に誘って気を紛らわせてくれました。ただ、中学生から大学生までの間は練習後の帰宅時間が夜遅く、家族とゆっくり過ごす時間は少なかったです。

父の操縦する軽飛行機で、初日の出

 家族の出来事として印象的だったのは、2012年のロンドン五輪。両親が初めて海外に応援に来てくれたからです。その4年後の元旦も良い思い出。お父さんの操縦する軽飛行機にお母さんと3人で乗り、上空から初日の出を見ました。景色が本当に美しかったです。

 つらかったのは2021年の東京五輪前に、アキレス腱(けん)を断裂したことです。これまでけがの報告をするたびにお母さんは泣いていたので、LINEで伝えるのが本当にしんどかった。案の定お母さんは目を赤くして見舞いに来ましたが、リハビリに付き添ったり、卓球を一緒にしたりして勇気づけてもらいました。現役を引退してからはけがの心配をしなくて済み、ようやく家族恒例行事のスキーができ、ゴルフも一緒に楽しんでいます。

 今は大学で体操部女子監督を務めていますが、技術的な助言をしたり、練習メニューを考えたりするのが楽しいです。たまにお母さんに相談しつつ、雰囲気づくりも大切にしています。

 私にとって体操で一番魅力を感じるのが、一緒に練習している仲間と同じ目標に向かって挑む団体戦。五輪でも、学生選手権のインカレでも同じ感動を味わえます。部員の個性を見ながら指導し、試合を通じてその醍醐味(だいごみ)を伝えたい。8月には全日本インカレで学生を引率します。各部員が人生の良い思い出となるような競技生活を送れるよう努めていきたいです。

寺本明日香(てらもと・あすか)

 1995年生まれ。愛知県小牧市出身。小1で体操競技を始め、同県のレジックスポーツを拠点に練習。ロンドン五輪にチーム最年少で出場し、リオデジャネイロ五輪では主将として団体4位に貢献、個人総合で8位入賞。2022年4月に現役引退。現在は至学館大(同県大府市)助教・体操部女子監督。

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