よしお兄さん&りさお姉さんインタビュー(2)子どもへの接し方は、お母さんたちから学びました

原田晋也

 

「ブンバ・ボーン!」を踊る小林よしひささん㊥と上原りささん(左から2人目)

インタビュー (1) 奇跡に近い毎日。やりがいしかなかったです から続く)

「ブンバ・ボーン!」「パント!」のこぼれ話

―「おかあさんといっしょ」の人気曲「ブンバ・ボーン!」についてです。「♪ミーアキャットがフラミンゴ」のところがある日突然、「♪ミーアキャットがフラダンス」になっていて、みんなテレビの前で驚いたと思います。ああいう、ちょっとした変化、遊び心は誰が考えていたんですか。

小林 「ブンバ・ボーン!」は、私も最初から制作に入りました。一つ前の「ぱわわぷたいそう」には、じゃんけんの要素が入っているんです。サザエさんの最後の「じゃんけんぽん」みたいに。毎日同じ体操だけど、ちょっと楽しみにできる要素があってもいいんじゃないかという意見が私を含め数人から出ました。会議の中で「動物は変えられないのかなあ」「フラ…ダンスとか? フラから行けるね」といった意見が出て、じゃあいってみようと。最初は2つ、3つ考えて、後半にちょっと増やしていきました。

―「パント!」の収録は、いつも収録しているところからちょっと離れたところでやるので、子どもが不安になってしまうとか。どのくらい離れているんですか?

上原 距離的には…50メートルもない?

小林 そんなないでしょ!(笑)1、2、3…5歩とか6歩とかですよ。

上原 なんですけど、そこ行くまでに照明がついてない場所が、本当に2、3歩分あって。明るいところから薄暗いところに行って、自分一人しかいない、っていう環境になるとやっぱり泣いちゃう子がいるんです。

小林 子どもにとってはかなりの変化というか、心細さというか。

上原 もう、外からお化け屋敷に入ったような感じになると思いますね。

「パント!」で風船を手にする上原さん

「パント!」で風船を手にする上原さん

「辞めたい」と思ったことは、一度もありません

―いろんな苦労もあったと思いますが、「つらいな、辞めたいな」ということはありましたか?

小林 そんなに悩む方ではないので。必ず次があったので、次行こう、次行こうと。辞めたいと思ったことはたぶん一度もないです。(卒業発表の)会見の時もちらっと話したんですけど、本当に私はりさちゃんのように芸というか歌や表現の練習ってしてこなかったんです。ド素人をこの番組が拾ってくれて、支えていただいているっていう意識があったので、とりあえず全うするまで頑張ろうっていう意識が根底にあって、辞めるという感覚があんまりなかったですね。

上原 私も辞めたいっていうのはあんまりなかったですね。唯一「つらい!」ってなったのは、熱出しちゃった時ですね。

小林 周りにねぇ、迷惑かけてしまうと。

上原 夏にさいたまスーパーアリーナと大阪城ホールでおっきいコンサートをやるのですが、最初の夏、大阪で当日に熱が38度出ちゃって、声も出なくなって。そのときは本当に申し訳なかったですね。

小林 スタートして夏ぐらいって、疲れが出てくる時期だったんですよね。

上原 「ちょっとガタっとくる時期なんだよ」って周りの方は言ってくださったんですけど、そのときは自分自身をめちゃめちゃ責めました。

泣いている子の思い 親はすぐわかるんですよね

―お兄さん、お姉さんをやってきて一番学んだことは何ですか?

小林 学んだこと。うーん。まあ日々勉強だったんですけれども、何だろうなあ、学んだこと…。あ、プロ意識はすごく学んだことの一つですね。皆さん同じだとは思いますけど、替えがきかない。やはり風邪は引けないとか、24時間体操のお兄さんでないといけないという自覚というんですかね。

上原 何でしょうね。将来自分が親になったときに、こうやって自分が子どもに接してあげたいなっていうことを…

小林 逆に学べた。

上原 逆に学べましたね。

小林 お母さんたちから子どもへの接し方を聞かれますけど、逆です。

上原 収録でも、お母さんたちがどんな風にお子さんと話しているのか、遊んでいるのかを見て、「子どもはこういうことを言ったら楽しいんだな」ということが何となくわかるようになってきて。「あっ、これ、もし自分が将来子どもが生まれた時に役に立つかもしれない」って思うことはいっぱいありましたね。

―例えばどんなことですか?

上原 子どもが泣いている時って必死で、何かを訴えたい。でもうまく言えない。そういう時に、他人である私たちはそこまでくみ取ってあげられない時が多々あるんですけど、お母さん、お父さんは自然にすぐわかるんですよね。やっぱり親子の絆ってちゃんとあるんだなって思って…

小林 うらやましい。

上原 うらやましいですよね。この子にとっては唯一無二がお父さんお母さんで。

小林 「ほらほらほら、お兄さんだよ、お兄さんだよー」って言っても、

上原・小林 お母さんがいちばんいい。

小林 それ学んだよね。やっぱりお母さんお父さんがいいんだなあって。言葉じゃなくって、本当にただぎゅーってするだけで落ち着いてくる。

上原 そういうことは私たちだけだったらわからなかったことなので、勉強になりましたね。

これからも子どもに接して、伝える仕事をしたい

―それぞれの道に進まれますが、今後も子どもと接する、子どもをテーマにした仕事をするんですか?

小林 はい。体操のお兄さんを卒業はしましたけれども、私の核となるものなので。続けていきつつ、ちょっと幅を広げてチャレンジしていきたいなあと。

 教育関係や体操の指導などもやります。あとは、今までは自分で考えて発信すること、生で自分の声を届けるっていうことがなかったので、そういうところもしっかりとしていきたいなと。例えば体操をつくって、自分の考えた教育論を指導者に向けて提供するとか、そういう方向もできたらなと思っています。

上原 私は、勉強していたミュージカルをまたやってみたいなっていう思いがあります。ミュージカルを見に行ったり、舞台を見たりして感じるものってあると思うので、こんなのがあるよ、こういうのもあるよって子どもたちに提示できればいいなと。悩みがあって、でも頑張って成功していくお話とか、本当にいろんなお話があって。その中の一員として世界観を伝えていけたら楽しいなって思っています。直接子どもたちと関わる機会は減ってしまうかもしれませんが、違う形で「いろんなものが世の中にあふれているよ」っていうことを子どもたちに伝えていけたらと思います。

 「ミュージカルのどこが面白いのかわからない」って言う方もいるのですが、早い段階から見てくれたらそういう声も減るかな、と思ってます。「自分もやってみたい」っていう子どもたちが増えていったらすごく嬉しいです。

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よしお兄さん&りさお姉さんインタビュー(3)”ロス”になったお母さん、お父さんへのメッセージ

よしお兄さん&りさお姉さんインタビュー(1)奇跡に近い毎日。やりがいしかなかったです

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  • 匿名 says:

    素晴らしい体操のお兄さんお姉さん感動しました

      
  • 匿名 says:

    『おかあさんといっしょ』に娘が合格して収録にいったとき、テレビで見たままのおにいさん、おねえさんがそこにいたのを覚えています。子どもたちにかける言葉かけに優しさが溢れていて、娘もすんなりおにいさん、おねえさんについていっていました。今でも写真を見るたびに思い出して、気持ちがほんわかしています。これからの活躍、楽しみにしてます。

      

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