液体ミルク、台風被害で注目高まる お湯いらず、被災地で重宝 子育て負担軽減でも好評

嶋村光希子 (2019年10月22日付 東京新聞朝刊)
 相次ぐ台風被害で、お湯で溶かす必要がなく、常温で保存できる乳児用液体ミルクが注目されている。台風19号などでは、多くの液体ミルクが支援物資として被災地に届き母親らが重宝している。被災地以外でも、日常の子育ての負担を減らす商品として需要が高まっている。
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災害時に需要が高まっている、缶や紙パックに入った乳児用液体ミルク=東京都千代田区のドラッグストアで

停電、母乳が出にくい…被災者を支える

 今年9月の台風15号で被災した千葉県鋸南町。町役場によると、支援物資として届いた液体ミルクを子どもに与えた母親には「停電の中、そのままストローを差して子どもに飲ませることができて助かった」と好評だったという。被災のストレスで母乳が出にくくなった人にも活用された。

 液体ミルクは欧米を中心に普及しているが、日本では粉ミルクと同水準の品質を確保することが難しく、長年、製造・販売が認められてこなかった。

北海道地震では活用されなかったが

 熊本地震など近年の大規模災害では、断水や停電により水やお湯がなくても、そのまま哺乳瓶に注いで乳幼児にミルクを飲ませることができるとして注目。だが、昨年9月の北海道地震では支援物資で届いた北欧製の液体ミルクが、被災者になじみがなかったため活用されず問題となった。国内での販売を求める声が高まり、今年3月から明治と江崎グリコが販売を開始。各自治体が災害用の備蓄を進めてきた。

 国内販売シェア約6割の明治は、台風19号で被害にあった水戸市や長野市に支援物資として送付。台風15号でも千葉県八街市、君津市、木更津市に送った。このほか自治体や小売企業などを通じて、多くの液体ミルクが被災地に届いている。

 一方、価格や保存期間では粉ミルクの方が優位とされる。明治が乳幼児の母親などを対象にした調査では、液体ミルクを使ったことがあるのは1割超にとどまった。同社の担当者は「使い方を丁寧に伝えることで、市場拡大の伸びしろは十分にある」と話した。

身軽に外出、パパや祖父母も使いやすい 母親たちの強い味方

 液体ミルクは災害時だけでなく、働く女性の増加などで子育ての負担を軽くする便利品としても人気だ。外出時に荷物が減り、父親や子どもを預かった祖父母も使いやすいなどとして販路も広がる。ドラッグストアやスーパー、大手コンビニに加え、高速道路のサービスエリア、駅の売店といった出先の急な需要にも応える。江崎グリコによると、7月までで当初計画の3倍を売り上げたといい、担当者は「育児で心のゆとりができたと好評」と語る。

 液体ミルクの需要増を受け、明治では全国の乳児院に寄付しているミルクも粉から液体に変更する方針だ。同社は社会貢献の一環として、乳児院への寄付を今年から開始。6月には全国の135施設に、ゼロ歳児用粉ミルクを寄付した。年に2回寄付していく方針だが、液体ミルクなら備蓄用としても役立ててもらえることから、12月に予定している分は、液体にすることを検討している。

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