〈パリ特派員の子育て通信〉フランスで人気の習い事「シルク教室」…なんとサーカス!

竹田佳彦 (2019年11月5日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
子育て世代がつながる

パリ特派員の子育て通信

 2017年9月からフランスに駐在する東京新聞パリ支局の竹田佳彦記者(41)が、現地の子育てについてつづります。随時掲載。
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シルク教室の会場となっている区の施設から元気よく出てくる娘

 ある木曜日の朝、珍しく早起きして私のベッドに潜り込んできた4歳の娘がうれしそうに話し始めました。「昨日ね。シルク(サーカス)行ったよ。楽しかった」。このシルク、見る方ではなく習い事の方。娘は前日が初回でした。

 フランスではサーカスが割と身近で、企業が福利厚生で社員の家族を招待することもあります。パリ市内ではナポレオン3世が皇太子時代の1852年に作った多角形のサーカス小屋が現役ですし、公園には移動サーカス小屋もやってきます。シャガールやスーラの絵で見たことがある人も多いのではないでしょうか。

 習い事として子どもたちにも人気で、本物のサーカス団や区役所などが教室を開いています。幸いにも住んでいる区の教室に空きがあり、娘は今秋から毎週水曜日の夕方に通い始めました。

ナポレオン3世が皇太子時代に作ったサーカス小屋「シルク・ディ・ヴェール(冬のサーカス)」=パリ市内で

 フランスの子どもたちは多くが幼稚園の年中になる4歳から習い事を始めます。年度末にあたる6月にクラブや団体、自治体に登録し、実際に始めるのは9月から。週末や平日の放課後、園が休日または半日になる水曜日に通います。

 娘の周りでも今秋、始める子が急に増えました。ダンスやバレエ、体操の教室などに通う子もいます。知り合いの日本人家庭で、日本語教室に行く子もいました。当初、バレエを教えている友人の子ども向け教室に娘を通わせようかと思っていたのですが、「行かない」のひと言。試しに連れて行っても、柱に隠れて見ることすら拒否します。

 代わりに妻がママ友から聞いたシルク教室を提案すると「行く」と即答しました。せっかくなのでフランスならではの習い事もいいなと思っていたので、親としても異議はありません。娘は自分の好みがはっきりしているようです。

 教室は大人が入れないため、教室で何をやったのかは娘に聞くしかありません。思い出しながら一生懸命に話してくれたところによると、カンガルーやネコなど動物の歩きまねをしたほか、ボールの上に立ったり、何にもつかまらず立ったまま乗る足踏み式四輪車を使ったりしたそう。教室を紹介する写真には、皿回しをしている様子もありました。楽しみながらバランス感覚を養うだけでなく、慎重さと忍耐強さも身に付きそう。体を動かすのが好きな娘にはちょうど良かったようです。年度末の発表会で練習の成果を見るのが、今から楽しみです。

 習い事といえば気になるのは月謝などの費用です。日本ではピアノやスイミングなど一般的な教室の場合、入会金などを別にして月5000~8000円、年間で6万~10万円と聞きます。娘が通う区主催のシルクは、所得によって変動しますが、年約120ユーロ(約1万5000円)。民間のシルクだと年500ユーロ以上かかるようで、内容がより本格的なのかもしれませんが、値段の違いに驚かされました。

 他の習い事でも、例えばクラブ主催のダンスや演劇、空手などはいずれも年300ユーロ以上。格安の区主催の習い事は「人気があるためなかなか入れない」と聞くのも納得でした。娘はコースや定員が増えたタイミングで運良く入ることができました。もしすぐに入れなければ空きができるのを待ちつつ、今も他の習い事を探していたかもしれません。

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