在日2世の「人民芸術家」故・洪永佑さんが描いた民話絵本 日本語への翻訳を願う友人たちの思い

保母哲 (2020年11月16日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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韓国で出版された洪永佑さんの絵本を手にする朴正植さん=習志野市で

 朝鮮半島の自然や風習を基に民話を創作するなどし、北朝鮮の芸術家で最高の栄誉とされる「人民芸術家」を授与された洪永佑(ホンヨンウ)さん=当時(81)=が、昨年10月に死去して1年。友人だった習志野市谷津の朴正植(パクチョンシク)さん(81)は「人間的にも素晴らしい人だった。惜しい人を失った」と悼みながら、洪さんが出版した民話の絵本が日本語に翻訳され、日本でも朝鮮半島への理解が進むよう願っている。

愛知で生まれ、朝鮮語と絵を独学

 洪さんは愛知県生まれの在日2世。中学校を卒業後に仕事に就き、北朝鮮を知るため24歳から朝鮮語を独学で学んだ。絵も勉強して民話などを創作。朝鮮新報の雑誌編集長なども務めた。2007年からは9年がかりで絵本の民話集20冊を発行し、その民話集は韓国で出版された。昨年10月、東京都練馬区の自宅で急死した。

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)傘下の青年同盟本部で1966年から4年間、洪さんと同じ在日2世の朴さんはともに働き、その後も親交を深めてきた。朴さんは「実直で努力家だった」と回想。新型コロナウイルスの影響で葬儀に来日できなかった韓国の哲学者で元大学教授の尹九炳(ユンクビョン)さんは、朝鮮王朝後期を代表する画家である金弘道(キムホンド)を引き合いに「洪先生は、金弘道以来、わが国の自然と情緒を描く唯一の方だった」と追悼の辞を寄せた。

 20冊の民話集には1話ずつが収められた。優しい娘のおかげで人間に戻ることができた「ハツカネズミの婿」など、日本民話と同様に柔らかな筆致で描かれている。朴さんは「絵本を通じて、日本でも洪さんと朝鮮を知る人が増えてくれれば」と祈っている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年11月16日

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