外国籍の子どもが多い横浜市南区 休校で孤立しないよう、学習支援を続ける信愛塾〈多様な学びの現場から・3〉

丸山耀平
子育て世代がつながる
 親が外国出身の子どもが多い横浜市南区で、NPO法人「在日外国人教育生活相談センター・信愛塾」は、新型コロナウイルスの感染が広がる今も、週3回の学習支援を続けています。スタッフは「自宅で母国語を話す子どもたちは、休校期間中に日本語を忘れて、孤立してしまうかもしれない」と居場所を守っています。
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新型コロナウイルスの感染防止対策を取りながら、外国人の子どもらに学習支援する竹川さん(左から2人目)ら

外国にルーツのある子どもの「学ぶ権利」守って40年

 4月中旬、小学生3人が少し離れて座り、算数や漢字などの宿題に励んでいた。ネパール国籍で小学5年の女児(10)は「急に学校がなくなり、友だちと会えなくなってさみしい。家で勉強して分からないときは本を見て調べてみるけど、誰かと一緒に勉強すれば、すぐに聞ける」と安心した様子で笑った。

 信愛塾が生まれたのは1978年。当時の市は朝鮮半島にルーツのある在日コリアンの家庭に公立学校に通うための案内を出しておらず、不安を訴える親の声に応えようと活動を開始。それから40年余り、外国にルーツのある子どもたちの学ぶ権利を守ってきた。

 中高生も学んでいるが、現在は感染防止のため、中国やフィリピン、ネパールなどの児童約20人が放課後に利用。スタッフに母国語で勉強の分からないところを教えてもらい、日本語も学ぶ。一緒に遊んだり音楽を楽しんだりもする。児童の滞在時間をずらし、中高生には困ったときに連絡してもらうなど工夫して活動を続けている。

中華街も協力 おなかも心も満たし「ここにいていい」

 休校で給食がなくなり、十分な食事をとれない児童が増える心配もあり、週2回、横浜中華街(同市中区)のレストランの協力で食事を提供している。実際に経済的に厳しく、朝食も昼食も食べない子がいる。

 竹川真理子センター長は「毎日が不安になる中で、メンタルケアをすることが必要。おなかも心も満たされることで、自分はここにいて良いんだと思ってもらうことが大切」と話す。国籍などの違いを超え共に暮らしていく多文化共生を目指してきた長い活動で初めての状況だが、「子どもたちの背中を押せる存在でありたい」と言い切る。

こどもの日特集「多様な学び」を考える

 今日は「こどもの日」。新型コロナウイルスの感染拡大で、休校が続く中、子どもの学びについての議論も活発になっています。子どもたちが自らやりたいと思う気持ちを尊重し、探求できる学びの場を記者が訪ね、「学校での一斉授業」だけではない「多様な学び」について考えます。

〈多様な学びの現場から〉

1・学校とは違う学び  子どもの「どうして?」の力を信じる、松戸の探求型スクール

2・宿題も定期テストも廃止 公立校の”当たり前”の改革者・工藤勇一校長の挑戦

3・外国籍の子どもが多い横浜市南区 休校で孤立しないよう、学習支援を続ける信愛塾

4・障害があっても、創作意欲は育つ 自分を丸ごと肯定される練馬のアトリエ

〈多様な学びを広げるために〉

「多様な学び」目指す教育機会確保法の施行から3年 学びの現場は変わったか

「分ける」ことが偏見や差別を生む 障害のある国会議員・木村英子さんが考える「インクルーシブ教育」の意義

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