医療的ケア児が楽しく過ごせる施設「ガブリエル」目黒区にオープン 看護師や保育士が常駐

(2021年4月2日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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0~18歳の子が利用できる施設=東京都目黒区で

 重い障害のある子どもたちが放課後や長期の休み中に通う施設が、東京都目黒区にオープンした。人工呼吸器の使用や日常的なたんの吸引が必要な「医療的ケア児」を主な利用者とする施設は、全国的に不足しているという。施設を開いたNPO法人の理事長、松尾由理江さん(46)は「子どもも親も笑顔になれる居場所をつくりたい」と話す。

遊びやレクリエーションで療育

 NPO法人と施設の名前はともに「ガブリエル」。子どもを守る天使の名前にちなんでいる。

 施設は3月、目黒区中町にオープン。定員は1日5人で、ゼロ~18歳の子を受け入れる。看護師や保育士、児童指導員が常駐し、遊びやレクリエーションを通じた療育を提供する。

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松尾由理江さん

 松尾さんは、障害児の療育機関で相談支援に携わっていた8年ほど前、医療的ケア児を自宅で24時間、休みなく看護する親たちの姿を見て、家庭外に居場所が必要だと思った。「呼吸器の管理やケアでまとまった睡眠も取れず、自分が体調不良でも病院に行けないお母さんたちがいた。衝撃を受けた」と振り返る。

自身の子を生後2日で亡くして

 自身も13年前、3番目の男の子を病気のため、生後2日で亡くした。「生きていれば、同じ状況になっていたかもしれない」。人ごとと思えず、施設をつくろうと決心した。

 医療的ケア児は近年、医学の進歩を背景に増加している。新生児集中治療室(NICU)に長期入院した後、在宅で医療機器を使いながら育つケースが増えているためで、厚生労働省によると、全国で推計約2万人(2019年、ゼロ~19歳)に上る。寝たきりの子もいれば、自分で歩ける子もおり、状態はさまざま。松尾さんは病気や医療機器、ケアについて学び、研修を受けるなど準備をしてきた。

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利用者の8歳の男の子が笑うと、松尾さんも笑顔になった

 施設は開設1カ月余だが、他区からも利用者がいて定員がすぐに埋まる日もあり、「ニーズの高さを感じている」(松尾さん)という。

子ども一人一人の尊厳を大事に

 介助では「子ども一人一人の尊厳を大事にすること」を意識。使うコップを子どもに選んでもらったり、食事中、食べたい物の順番や量を子どもの様子からくみ取ったり、一方的にならないよう気を付けている。

 施設は透明なガラスを使って外から様子が見えるようにするなど、地域との交流も意識している。

 松尾さんは「それぞれの障害の状態を把握するのは大変だが、子どもたちがいろいろな経験を通じてできることを増やしたい」と力を込めた。問い合わせはガブリエル=電話03(6451)2455=へ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年4月2日

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