共同親権よりDV・虐待の厳罰化と再教育を優先すべきでは? 弁護士がシングルマザー対象に勉強会
出田阿生 (2023年1月20日付 東京新聞朝刊)
離婚後も両親が子どもの親権を持つ共同親権制度への法改正の動きがあることについて、弁護士によるシングルマザー対象の勉強会が14日、埼玉県所沢市内で開かれた。DVや離婚の問題を多く手がける村松綾子弁護士が講師となり、実際の相談例などを紹介しながら講義した。ひとり親を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」主催。
加害側の支配が続く危険性
現行の制度では、婚姻中は共同親権で、離婚すると一方の親が親権者となる単独親権。法制審議会(法制審)では離婚後共同親権の導入が議題となり、賛否両論が出ている。
離婚後も共同親権となった場合、引っ越しや進学など子どもに関する重要な事柄の決定に、別れた両親が逐一合意する必要が出てくる。しかし、深刻な対立があったりDVや虐待が絡んでいたりして離婚に至ったケースでは話し合いが難しく、連絡を取ること自体が危険なこともある。村松弁護士は、日本ではDVや虐待の被害救済システムが不十分だと指摘し、「現状で共同親権を導入すると、加害側が元配偶者や子どもを支配する関係が続く危険性が高い」と指摘した。
法制審では「DVや虐待がある場合は共同親権にしない決まりを設ける」という意見も出ているが、村松弁護士は「精神的暴力や性暴力は表に出にくく、立証は非常に難しい」と指摘。弁護士に相談できるDV被害者は10人に1人とされ、DVが過酷であるほど被害意識すら持てない人が多い現状を挙げ、「加害者の厳罰化や再教育の制度を整える方が先決だと考える」と訴えた。
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DVから子連れ避難した同居親です。加害者が悪用することのできる共同親権には、選択制であっても絶対に反対です。法制度や家裁の運用に関して誤った報道が多い中、DVに理解のある方々の活動、それを記事にしてくださる記者さんの存在に勇気づけられます。ありがとうございます。