手持ち花火で子どもと夏の思い出を 楽しく安全「煙少なめ」「あんしんスティック」 花火OKの公園を探せるアプリも

海老名徳馬、藤原啓嗣 (2023年6月28日付 東京新聞朝刊)
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あんしんスティックで、煙の少ない花火を楽しむ子ども(オンダ提供)

 家族や友人と楽しむおもちゃ花火を取り巻く環境が、少しずつ変わってきている。火に不慣れな子が増え、遊べる場所が減る中、小さな子どもでも楽しめる商品が生まれ、花火ができる公園をまとめたアプリが人気を集める。ルールとマナーをあらためて確認し、この夏は花火で子どもとの思い出をつくってみては。

少ない煙 スマホできれいに撮影できる

 花火を製造、販売する老舗「オンダ」(東京都台東区)は、火に慣れていない子どもに配慮した商品を開発。2012年に発売したのは、煙の少ない花火だ。

 輝く火花はそのままに、立ち上る白煙は従来品より少ない。子どもたちが手にした花火の煙でむせないように、燃焼時に煙になりやすい成分を材料から減らしたという。

 住宅の密集した都市部の公園でも遊びやすく、スマートフォンできれいに撮影できることもPR。社内の花火で2番目の売り上げを誇る。

火が怖いなら…25センチのスティック

 オンダはIH調理器の普及などで、子どもが火に接する機会が減っていることを危惧。2017年から都内の保育所や幼稚園で花火の安全な遊び方を学べる教室を開く。

 そこでヒントを得て企画した商品も。幼い子どもが花火を恐れてへっぴり腰になっていた姿から、昨年は「あんしんスティック」を売り出した。長さ25センチの棒状で、先端に3つまで手持ち花火を取り付けられる。水を入れたペットボトルに棒を挿すと、手で持たずに花火を楽しめる。

突き刺せば消火できる、ゲル状処理容器

 簡単に花火を処理できる使い捨ての専用容器も売る。約500ミリリットルの水を注ぐと中身がゲル状に。遊び終えた花火を突き刺すだけで消火でき、最後はそのままごみに出せる。

 常務の恩田郷子さん(59)は「花火はやけどや煙などの心配があると思うが、適切に扱えばちゃんと楽しめる。日本の文化として守り続けたい」と話す。

OKの公園を地図表示「Hanabi-Navi」

 花火を楽しみたくても、多くの人が悩まされるのが「どこでやるか」という問題だ。特に都市部では限られる中、場所を探すのに便利なのが、おもちゃ花火の販売などを手がける若松屋(愛知県西尾市)がつくった無料アプリ「Hanabi-Navi」。花火ができる公園が地図上に示され、簡単に調べられる。

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花火ができる公園が探せる「Hanabi-Navi」の画面

 コロナ禍で夏の帰省が減り、おもちゃ花火は地方での消費が落ち込む一方、都市部では売り上げが増えた。ところが「どこでやればいいか分からない」という声が多かったため、同社はアプリ開発に取り組んだ。

 公園で花火ができるかは自治体ごとに異なる。役所の担当者や管理業者に花火の可否を聞き、地方の花火業者の協力も得て実際に公園を訪れ、看板の注意書きや水場の有無を確認。近隣への配慮から小さな公園はリストから外したという。

 2021年に名古屋市内の情報をリリース。その後東京や横浜市、静岡市などを順次追加し、ダウンロード数は全国で3万4000を超える。同社営業部長の竹内直紀さん(48)は「公園で花火はできないという先入観を持っている人は多い。できる公園もあると知ってほしい」と話す。

必ず水を用意 ごみは持ち帰りましょう

 もちろん安全面での配慮は欠かせない。日本煙火協会専務理事の河野晴行さん(73)は「花火に書いてある使用法や注意書きをよく読んで、適切な場所を選び、必ず水を用意して遊んで」と呼びかける。子どもだけで遊んで事故に至る例もあるといい「特に小さい子には大人が付き添って」。手持ち花火の場合はろうそくの用意も必須だ。

 「きちんとごみを持って帰ることも大事」と河野さん。近隣に迷惑をかけないよう、場所だけでなく時間もよく考えて楽しみたい。

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