「親は子どもを育てるようにはできていない」池谷裕二さん(脳研究者)

 人間の脳を生物学的に見ると、親は子どもを育てるようにはできていないし、子どもも親の言うことを聞くようにはデザインされていません。

 人類の歴史の99%以上を占める長い狩りの時代、子育ては年長の子どもや祖母がしてきました。子どもは子どもの言うことなら聞くんです。今は何かあるとすぐに「親の顔が見てみたい」と保護者が責められますが、核家族を社会のシステムの前提として捉えている時点で間違っています。

 「東京すくすく」には、当たり前になってしまっていて気付かないような問題に光を当ててほしい。そのことによって、子育てが楽になる人がいるかもしれません。

いけがや・ゆうじ

1970年生まれ、東大薬学部教授。2児の親。「パパは脳研究者」(クレヨンハウス)、「進化しすぎた脳」(講談社ブルーバックス)、「受験脳の作り方」(新潮文庫)など著書多数。公式サイトはこちら

 東京新聞の子育てサイト「東京すくすく」のスタートにあたり、日ごろ子どもたちとかかわったり、子育てを支えたりしているさまざまな分野の方たちからメッセージをいただきました。