小学生の「都バス探検隊」が最新鋭の水素バスに乗ってみた! 都営交通×東京すくすく【夏休みわくわくこどもキャンペーン】
水素で走る燃料電池バス 違いを体感
最初は工場2階の会議室に集まり、質問する時やメモを取る時のコツを子どもたちに説明しました。みんな真剣な表情で、頼もしさを感じます。ちょっと聞いてみると、クルマ好きの子、質問を何十と考えてきてくれた子も。案内役を務める宮城工場長からは工場の役割などを聞き、早速「取材」に繰り出します。
水素で走る「燃料電池バス」の乗車体験からスタート。車体のデザインや内装の質感なども「最新」の存在感。私も含め、乗るのは初めてという参加者が多く、気分が高まります。乗車すると、そのまま洗車機へ。
「このバス、1台1億円ぐらいします」。車内での宮城工場長の一言に、「おお~」と思わず歓声が(主に大人から)。ちなみに普通のバスは2000万~3000万円だそうです。一方、子どもたちが反応したのは、「バスにミラーはいくつ付いている?」というクイズ。安全確認のために11個も付いていると聞き、みんな驚いていました。
運転席で乗降ドアを開閉させるレバーの操作も体験。さらに、エアコンを止めて場内を1周すると走行音の静かさが際立ち、次の1周はアクセルを踏み込んで力強く加速。一般的なディーゼルエンジンのバスとの違いを体感し、子どもたちは熱心にメモを取っています。
車体下で見学 整備の一番の基本は?
次は、車検整備の現場へ。リフトで高さ1.3メートルまで持ち上げられたバスの車体の下に入り込み、運転席でハンドルを切るとタイヤが動く仕組みや、床は軽くて丈夫な木材でできていることなどを学びます。先ほど操作を体験したばかりの乗降ドアが開く時、お年寄りでも乗りやすいように車体を左に傾ける仕組みも、こうして目で見るとよく分かります。
発電機、ブレーキパッドなどの部品は定期的に取り外し、よく洗い、整備して再使用するそうです。その工程を案内しながら「整備士の一番の基本は、実は洗うことなんです」と宮城工場長。「きれいにして、問題が見つかれば直す。新品に近い状態をいかに維持するかを考えて仕事をしています」
まとめる前に「思い出すこと」が大事
取材の後は会議室に戻り、1~3年生は絵日記に、4~6年生は壁新聞にまとめていきます。情報量が多いと、かえってまとめるのに苦労することがあります。そこで、「ノートや写真を見ながら、まずは『思い出すこと』をしてください。その中で、自分が『きょう、こんなことあったよ』と一番伝えたいことはどれか、二番はどれか、と考えてみて」とアドバイスしました。
見学中にできなかった質問は、この時間に宮城工場長にぶつけます。「走っていて地震が起きたら、どうするんですか」など、熱心に質問しました。「1億円もする水素バスを使うのは、何のためですか」と聞いたのは、小学6年の白井咲さん。「水素バスは環境に優しくて乗り心地も良く、すごいと思いました」と話しました。
都営バスの自動車工場だからこそのプレゼントも
バスの絵から描く思い切りの良い子、文章を別の紙に下書きする慎重な子、見出しや絵の配置を大まかに考えてから取りかかるプロの記者のような子。まとめ方にも個性が出ていて、指導しながら感心してしまいます。壁新聞の紙面を大胆に2分割し、ディーゼルのバスと水素バスの対照表を作った子もいて、独創的なレイアウトにはこちらが勉強になりました。
進み具合には差があるものの、完成形がある程度見えるところまで全員進めて、無事に終了。最後は、宮城工場長から参加者へのプレゼントもありました。布の縫製や木工までこなすという都営バスの自動車工場だからこそ作れる、バスのシートと同じ布でできた特製ペンケースに「こども記者」は大喜び。
小学6年、松下世直(せな)君は「車体の後ろを開けてエンジンを近くで見られたのが楽しかった」。乗り物が好きで参加したという小学4年生は「普通では体験できないことができたし、部品も一つ一つ近くで見ることができて、バスのことがよく分かりました」と満足そうでした。
取材後記
昨年の「都電編」に続き、先生役を務めるのは2回目。記者として取材のコツを伝授する──というと聞こえは良いのですが、「取材とは何か」「質問のコツは」「メモのコツは」など、よく考えると難問で、自分の仕事の「本質」は何か、と問い直す機会になりました。こども記者にこちらが教わった気がします。
暑い夏の一日、参加者全員が楽しそうに帰っていく姿を見て、うれしかったです。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
今の世代が次世代のバスを作り、次の世代がまた新しいバスを開発するということにもつながりますね