フリースタイルのけん玉世界選手権の優勝トロフィー（高さ約60センチ）を手にする中島さん＝船橋市役所で

300本を所持　1週間で使えなくなることも

　中島さんにけん玉を教える指導者はいない。動画サイトYouTubeを見たり、けん玉仲間と技を披露し合うなどして、腕前を磨いてきた。現在、使っているけん玉は約300本。自宅での毎日の練習で、けん先や玉の穴部分が擦り減り、1週間ほどで使えなくなることもあるという。1年ほど前、米国のけん玉メーカーが運営するチームに所属した。

　昨年12月に出場したのは「第6回けん玉フリースタイル　1on1トーナメント　CATCH&FLOW2019世界選手権」。フリースタイルは、自由な技の組み合わせやオリジナルの技で競う競技。米国、カナダ、中国などからの90人がそれぞれの持ち技を披露し、中島さんはその頂点に立った。

「勝ち負けより楽しもう」憧れのプロ選手に勝利

　「予選では調子が良くなかった。勝ち負けは考えずに、楽しもうと思った」と選手権を振り返る。予選を勝ち抜いて、決勝トーナメントでは、あこがれのプロ選手・ニックストッド選手と対戦。勝利を収め、波に乗れたという。

　けん玉は日本が発祥の地とされ、音楽に合わせて次々と技を決める外国人選手が出るなどしたため、現在は「STREET KENDAMA（ストリート・ケンダマ）」が世界的に人気を集めている。

武器は速さと独自の技「五輪競技になるといい」

　中島さんの持ち味は、両手を使った素早い動きとけん玉を操るオリジナルの技。「一つの流れを作りながら、ミスなくできるようにしたい」と話しながら「けん玉がオリンピック競技になるといい」。目標は世界選手権の連覇と、ワールドカップ（W杯）での優勝。「あこがれてもらえるような選手になれれば」と笑顔を見せた。

　4月に船橋市役所に松戸徹市長を訪ねて、世界選手権の優勝を報告。松戸市長は「これまでと違う技にもチャレンジしながら、もっとパフォーマンスを磨いてほしい」と、今後の活躍を期待していた。

［元記事：東京新聞 TOKYO Web　2020年6月8日］