もうひと部屋、なんかできそうな気もする〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉

(2024年3月6日付 東京新聞朝刊)

写真 次男と三男

加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!加瀬健太郎

 子どもたちは、よく僕の膝の上に座る。さすがに長男はもうないけど、あとの3人が、かわるがわるに来て、取り合ってケンカもする。「おれもここでは人気者だな」と、うれしい。

 うれしいが、みんな決まって僕の上で屁(へ)をこく。しかも、悪びれもせず「こいちゃった」と申告もせず、さも当たり前のことのようにこく。理由を聞くと、次男は「おならガスで温めてあげてるんだよ」と得意げ。三男は「だって、いいじゃん」と笑った。四男は「だいじょうぶだよ」と言った。大丈夫かどうかは、こちらで決めさせていただきたい。

写真 四男

 家にスペースが足りなくなってきた。1階がLDKで、2階の2部屋が、寝室と僕の仕事部屋。夏の寝室は、人口密度でムンムンしていて、二酸化炭素中毒にならないか心配なほど。いつの間にか大きくなった長男の体も、子ども用2段ベッドからあふれ出そうとしてる。

 それがある日、妻が「吹き抜けのところに、もう一部屋作れるんじゃない?」と言ったので、家族6人玄関に集まって、吹き抜けを見上げた。

 「なんかできそうな気もする」「あの壁をぶち抜いて、アコーディオンカーテンにして」「自分たちで工事できるんじゃない?」「落ちたらどうすんだよ」「あそこはおれの部屋ね」「おめえ、ずりーんだよ」「けんとは2段ベッドな」「ママのよこがいい」

写真 四男

 楽しかった。何もない吹き抜けに、みんなで新しい生活を思い描く。大航海時代の冒険家が、世界地図に新大陸を夢見たように。「工事いつからすんの?」と興奮した子どもらに聞かれ、言葉に詰まる。「もう面倒くさくなったんでしょ」と妻が言った。

加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

写真

 写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。13歳、11歳、6歳、3歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。

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