コロナ禍で女性と子どもへの暴力が深刻化 支援強化へ助成基金を創設 公益財団法人みらいRITAが寄付募集

早川由紀美 (2020年9月5日付 東京新聞朝刊)
 コロナ禍で家にいる時間が増えることで、女性や子どもに対する暴力が深刻化している。支援体制を手厚くするため、公益財団法人みらいRITA(東京都港区)では「女性と子どものエンパワーメント コロナ基金」をつくって相談業務やシェルター(避難所)を運営する団体への助成を始めた。基金への寄付を募っている。
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女性や子どもを暴力から守るための基金を設立した薗田綾子さん=東京都港区で

DV対応団体の体制強化

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のための自宅待機や休業などで、家族で家にいる時間が増え、DVの相談は増加。政府は通常の相談体制に加え、24時間、電話やメールで相談を受け付ける緊急相談窓口「DV相談+(プラス)」を開設している。

 コロナ以前から、DVや児童虐待の相談件数は増加を続けており、婦人相談所や児童相談所の対応は追いつかない状態だった。みらいRITAでは民間団体の体制を強化していくため基金を設立。DVの相談や、被害者の自己肯定感を回復するための対話などを実施している公益財団法人「さっぽろ青少年女性活動協会」や、被害女性のシェルターを開設しているNPO法人「女のスペース・おん」など6団体に計2000万円の助成を決めた。

1口1万円で寄付を募集

 今後も相談員の育成や、DVと児童虐待を同時に予防できる仕組みづくりなどに長期的に取り組む方針で、1口1万円で寄付を募っている。個人、法人とも全額寄付控除の対象になる(詳細は公益財団法人みらいRITAのホームページ)。

 みらいRITAは、クレアン(東京都港区)社長の薗田綾子さんが、両親の遺産をもとに3年前に設立した。クレアンではCSR(企業の社会的責任)のコンサルティング業務を手掛け、近年はジェンダー平等など17のゴールを掲げる国連のSDGsの普及にも取り組む。薗田さんは「女性に対する暴力を防ぐための国の予算も少なく、企業の支援もない。ぜひ関心を高めていきたい」と話している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年9月5日

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