困難抱える妊婦さんへ「いつでもおいで」 豊島区のNPOが「HOME」開設 代表理事は助産師

(2020年4月4日付 東京新聞朝刊)
 予期せぬ妊娠に悩む女性を支援しているNPO法人「ピッコラーレ」(東京都豊島区)が今月、居場所がない妊婦のための場「HOME」を開設する。代表理事で助産師の中島かおりさん(48)は「妊娠に至る前から貧困や虐待などの困難を抱えて生きてきた女性たちを受け止める場にしたい」と話す。
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「漂流せざるを得ない状況の妊婦たちに安全な居場所を提供したい」と話す中島かおりさん=東京都豊島区で

予期せぬ妊娠相談、4年で1万4000件超

 妊娠をどこにも相談できず、赤ちゃんを産み捨てたり、虐待したりする女性がいることに心を痛めてきた中島さん。都内で働く助産師らと5年前、ピッコラーレの前身の相談支援窓口「にんしんSOS東京」を立ち上げた。

 これまでの4年余りの活動で、約3600人、延べ1万4000回超の相談に応じてきた。LINE(ライン)やメール、電話のほか、対面でのやりとりも多い。産む、産まないを含め、本人の意思を尊重しつつ、産婦人科の受診や、行政手続きのための同行、専門機関への橋渡しなどをしている。

「妊娠前からDV、虐待被害や貧困経験」

 中島さんは「ピッコラーレにたどり着く女性たちの多くは妊娠前からDVや虐待、貧困などにさらされてきた」と指摘。妊娠しても相手の男性や血縁、友人を頼れず、ネットでつながった人のもとやネットカフェを転々としたり、日雇いの仕事で働いたりと何とか自分自身で生き延びてきたのだという。「健診に行くよりも、今日の寝場所や食べ物を何とかしなくてはという人が多いのです」

 HOMEは、そうした女性たちが安心して休息できる場を目指す。豊島区の空き家利活用事業で、一戸建てを借りてリフォーム。宿泊もできる個室が2部屋あるほか、リビングやキッチンなども使える。「いつでもおいで、と言える場所があることの意義はとても大きい。こうした施設は社会から閉ざされがちだが、地域に開かれ、いろいろな人が出入りするような場にしていけたら」。運営費の寄付なども募っている。

 問い合わせは、ピッコラーレ事務所=電話050(3134)4479=へ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年4月4日

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