自立とは、人の力を頼って生きること 施設を巣立つ子どもに伴走する「ゆずりは」

(2021年2月22日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 アフターケア相談「ゆずりは」所長・高橋亜美(たかはし・あみ)さん(47)=東京都国分寺市=は、同市のアフターケア相談所「ゆずりは」の所長として、児童養護施設や自立援助ホームを退所した子どもたちを支援している。「頼ったり相談したりすることは迷惑ではない。家族ではなくても、困った一個人を大切にする社会になってほしい」と話す。
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「苦しいときに自分だけで解決しなくていい」と語る高橋さん=都内で

自立援助ホームで働き困難に直面

 活動のきっかけは、大学卒業後に働いた自立援助ホーム。虐待などを理由に親元から離れた子どもたちが社会で自立するために生活している。就職などでホームを離れた後は、親の後ろ盾のない中、虐待のトラウマ(心的外傷)や低学歴といったハンディを抱えて生活しなければならないことが多く、困難が伴う。

 児童期に苦しい思いをした人たちへのアフターケアは十分ではない。1人で暮らしていくお金に困り、資格や学歴がないことから性風俗など夜の仕事に搾取されていく女性、頼る先がないため消費者金融からの借金が膨らんでいく人もいる。「施設で一緒に生活してきた子がそうなる。早く相談できる環境にあれば」との思いが募った。

困っていることを一緒に解決する

 相談してくる人はホームの退所者だけでなく、ネグレクトや性虐待、身体的暴力に遭いながら児童相談所につながれなかった人もいる。「こんな年齢になって相談できない」とためらう傾向も強い。「職場で見た目は元気でも心の傷は見えない。トラウマが原因で対人関係が怖かったり、夜眠れなかったり。怠慢だと言われ、仕事が続かない人もいる」と明かす。

 「ゆずりは」では、同じ視点でものを見て、一緒に考える「伴走型」の支援を大切にする。「本人が変わりたいと思わなければ変わらない。やってあげるじゃなくて困っていることを一緒に解決する」という考えからだ。

自分で頑張る、という”社会風土”

 やりとりを繰り返すことで相談者に少しずつ安心感が芽生えていく。表情がなかったり、いつも怒っていたりする人が、穏やかな表情になったり、声が明るくなったりする。「幸せになる姿を見ること、楽しい時間を過ごせることがうれしい。そういう気持ちで続けている」

 コロナ禍で相談件数は増加している。「家がない」「仕事がなくなった」など深刻な内容も多くなった。「日本には自分で頑張らなきゃいけないという教育と社会風土がある」と高橋さん。「『自立』の本当の意味は、いろんな人の力を頼って生きていくこと。苦しさや不安を分かち合うことが当たり前になってほしい」と話す。

ゆずりは 

 児童養護施設などを運営する社会福祉法人「子供の家」の事業の一つとして、2011年4月に設立された。高卒認定、資格取得のための学習会や就労支援、居場所づくりなどをしている。問い合わせは電話=042(315)6738=で受け付けている。

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