教員の長時間勤務に歯止めを 残業代支給などを求め、研究者有志が署名呼びかけ
榎本哲也 (2023年5月31日付 東京新聞朝刊)
小中高校教員の長時間勤務に歯止めをかけようと、教育研究者の有志20人が呼びかけ人となり、教員に残業代を支給することなどを求める署名を5月30日から始めた。呼びかけ人の一人、中嶋哲彦・愛知工業大教授(教育行政学)は「このままでは教師を志す若者が減ってしまう。教師の労働条件は子どもの教育条件。子どもに豊かな学校生活を保障するには、教師の多忙さを解消しなければ」と訴えた。
自民案には反対の立場
署名の要望は
- 教員に残業代を支給する
- 学校の業務量に見合った教職員を配置する
- これらを実現できるように教育予算を増額する
―の3項目。
有志の研究者らは教職を志す学生を教える機会も多く、強い危機感がある。専門分野はさまざまで、教員の長時間勤務を巡っては意見が異なる。残業代を支払わない代わりに月給4%相当の教職調整額を支給すると定めた教職員給与特別措置法(給特法)にも「廃止」「法制度は触らず改革」などの意見がある。
署名募集にあたり、議論を経て3項目を一致点とした。教職調整額を「10%以上に増額する」とした自民党の提言には「反対で一致している」(小玉重夫東京大教授)という。
ネットと紙の署名を併用し、今秋と本年度末に集約し、首相や文部科学相などへの提出を想定している。署名の名称は「教員の長時間勤務に歯止めをかけ、豊かな学校教育を実現するための全国署名」。詳細は「Change.org」のサイトで案内している。
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元現場で働いていた者として一言。
給料を上げて貰えるのは嬉しいが、業務の縮小はどうなっているのか。現文科相が財務省と喧嘩をして、人件費を勝ち取り、教員を増やすことが喫緊の課題ではないのか?「まずい時期に大臣になってしまった」などと考えている人は即刻辞任せよ。現場を十分に経験している人を民間から登用するべきである。現政権党に適材は皆無である。
高校に関しては、部活動指導を一掃すること。そのために全国校長会の会長は高体連・高野連・高文連の各会長と膝を詰めて話し合うこと。内容は勿論公開である。
やらなければならないことが判っているのに、事態が改善しないのなら、我が国に政治屋は要らない。結局は教育や政治に対する無関心が現在の事態を招いているように思える。
2023年3月で、十数年続けた小学校教員を退職した者です。理由は、小学校という職場で希望がなくなったからです。
私は独身女性で、子をもつ願望が全くありません。子なし独身女性は、教育現場の業務の受け皿扱いをされます。実際、妊娠や子育てであまり業務の負担ができない先生方の仕事が複数回ってきました。突然のお子さんの発熱で早退や欠勤する先生のカバーも、幾度となくしていました。学年内で仕事を分担しても、はじめの分担より結果的に多い量を負担していました。
独身子なしなので、宿泊学習に同行する役がよく回ってきて、担任する学年も、宿泊学習がある4〜6年生が多かったです。勤務時間通りに勤務した日は十数年間で一度もありません。帰宅が22時になることも少なくありませんでした。
30代、体力的に限界はとうに超えていました。体調を崩すことも1年間に何度もありましたが、子育て世代が子どもの体調不良により早退してしまったフォローを担うためには、自分の体調不良は欠勤の理由にできませんでした。先生が休んでもクラスの子供たちはいるので、誰かが見なければ、授業をしなければいけません。感染症の季節、小学校より先に幼稚園保育園で流行します。すると先に子育て世代に休まれてしまうので、なんとしても休まないように気を張るしかありませんでした。頭痛も吐き気も、市販薬を飲んでごまかしてきました。土日も働きました。
誰のために働いてるのか、もはやわかりませんでした。自分の仕事がうまく流れるように周りをフォローするはずが、周りのフォローに明け暮れて自分の仕事が終わらない悪循環。しかし40.50代の担任は少なく、頼る先輩もあまりいません。20代の若手も見守り育てたいのですが、なかなか一緒に考えたり準備したりする時間もとれず、歯痒かったです。性格が腐った先輩に八つ当たりのターゲットにされ、精神的にも辛かったです。頭痛と吐き気は毎日。お店で買いたい商品が選べなくなり、急に涙が出る夜も。無理がたたり、1ヶ月強も声が出なくなりました。ただの風邪とは思えませんでした。
過労と精神的ダメージを耐えていたら、体と精神をやられると本気で思い、退職する決意をしました。もし数年後に労働環境が整うなら、教員に復帰したいです。希望は薄いですが…今は休憩時間や勤務時間が守られている職場で働けていて、自分を労っています。現役の先生方の健康を祈るばかりです。