公立中の部活を五輪アスリートが指導します!「地域移行」支援でヤマダHDが新事業 群馬の陸上部で実証実験

羽物一隆 (2023年9月2日付 東京新聞朝刊)
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ヤマダHD陸上部の指導を受ける生徒ら=群馬県吉岡町の吉岡中で

 公立中学校の部活動の指導を外部の人にゆだねる「地域移行」の一環で、家電量販店大手のヤマダホールディングス(HD、高崎市)が、群馬県吉岡町立吉岡中陸上部への支援を9日から始める。土曜日や祝日の練習で、同社陸上部の現役やOB選手らが指導に当たる。ヤマダHDは新事業として全国展開していく方針で、注目を集めそうだ。

東京五輪400m障害の安部孝駿さん

 吉岡中への支援は1、2年生部員計45人に対し、指導員2人を派遣する。当面は学校側の顧問も同席するが、可能と判断すれば、指導員のみで休日の練習を担当する。

 8月26日には自治体などに向けた説明会が開かれ、2021年の東京五輪で男子400メートル障害に出場した安部孝駿さんらが生徒たちに実技指導した。2年生の小出航世君は「強い選手に教わって、練習の質を上げていきたい」と期待する。来年3月までは実証実験として行われる。

地域クラブも準備 幅広い受け皿に

 ヤマダ側は吉岡中の事業について、既存の部活動に支援事業を連携させる「複合型」と位置付ける。練習内容について月1回は調整の協議を行い、練習の質の向上を図る。ほかに、新たな地域クラブを設立するモデルも準備。複数中学校の部員を受け入れも視野に、幅広く受け皿となることを目指す。

 吉岡町は、地元のスポーツ少年団などに地域移行を依頼してきたが、陸上では適切な担い手が見つからなかった。「トップレベルの選手に教えてもらう機会は、生徒にとっても貴重だ」との判断もあって支援を受ける判断に至ったという。

 地域部活の設計・運用を担当する一般社団法人コードプロジェクト(東京)の池淵智彦代表理事は「地域移行は、スポーツを通じて豊かな生活を育むことも大事な使命。人材確保や地域に合ったカスタマイズが重要になる」と指摘する。

部活動の地域移行とは

 教員の長時間勤務の要因と指摘される部活動で、地域のスポーツクラブなどに指導を移行する取り組み。本年度、国が3年間の段階的な取り組みを促す「改革推進期間」がスタートした。群馬県内は中学の運動部数が合計2000以上になるのに対し、受け入れ団体と期待される統合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団は900を下回り、担い手の確保が課題となっている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年9月2日

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