【RSウイルス】妊婦と赤ちゃんの感染に備える出産準備とは?みんなのギモンから知る最新情報〈PR〉
監修:田中 守 先生(慶應義塾大学産婦人科(産科)教授 )
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「RSウイルス感染症」が大人の間であまり話題にならないのはなぜ?


子どもが幼稚園で感染しました。診断を受けたものの幸い軽めの咳や鼻水程度で良くなったので、子どもがかかるたくさんの感染症のひとつという認識でした。生まれたばかりの赤ちゃんも感染する可能性があると聞きましたが、大人の間であまり話題にならない気がしています。なぜでしょう?
(子ども14歳・2歳・9歳)

乳幼児や早産で産まれた子供は、特に気を付けた方がいいというのは本当ですか? 主な症状や、特に注意すべきことがあれば教えてください。
(子ども1歳・妊娠8カ月)
【田中先生からの回答】
コロナ後の急拡大(※3)をきっかけに注目を集めた「RSウイルス感染症」。以前と比べてその認知度は上がってきましたが、まだ症状や重症化の可能性については知らないという人も多いかもしれませんね。「RSウイルス感染症」は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症で、主にくしゃみや咳による飛沫(ひまつ)感染、ウイルスが付着したものに触れることによる接触感染でうつります。以前は夏から秋に流行のピークがみられていましたが、最近は春から夏にピークが見られるようになり、季節に関係なく流行が見られます(※4)。
RSウイルスは世界中のどこにでもいるごくありふれたウイルスですが、感染力が強く、2歳までにほぼ全員が感染するといわれます (※1)。4~6日間の潜伏期間を経て、乳幼児では約7割が風邪症状のみで数日のうちに軽快しますが、約3割では強いせきやゼーゼーとした呼吸、呼吸困難、気管支炎や肺炎などの重い症状が現れることがあります(※1)。世界的にも乳幼児が入院する主な原因として知られており(※5)、国内ではRSウイルスにより毎年約3万人の乳幼児が入院し、その中で7%のお子さんに人工呼吸器による集中治療が必要となるという報告があります(※2)。
なぜ、大人のRSウイルス感染は話題にならないのでしょうか。それは高齢者を除く大人は感染しても重症化しにくいからです。RSウイルスは一度かかっただけでは体内で充分な免疫ができず、成長の過程で感染を繰り返すなかで、少しずつ免疫が作られるという特徴があります。だからこそ、免疫を十分に持たない6カ月未満の赤ちゃんが感染すると症状が重くなりやすいのです。そのほか、早産で産まれた赤ちゃんや、心疾患などがある乳幼児も重症化しやすいため、しっかりと予防・対策をすることが大切です(※2)。
「RSウイルス感染症」の重症化を防ぐにはどうしたらいいの?


一番下の子どもが早産で産まれた後、RSウイルスに感染しました。3回目の通院でようやく診断を受けたのですが、その後急に体調が悪化して入院。呼吸も荒く、しんどそうな赤ちゃんの姿を見て心が痛みました。また付き添い入院だったため、上の子どもたちの世話をどうするかも悩みました。
(子ども12歳・6歳・2歳・1歳)

RSウイルスは今年第一子が感染し、診断を受けて初めて知りました。咳や息苦しさ、熱が長引き、下の子にも感染して自宅看病が大変でした。できるだけかかりたくないので、予防法や対策があればぜひ知りたいです。
(子ども2歳・10カ月)
【田中先生からの回答】
生後すぐに感染した赤ちゃんも、産後まもないお母さんも大変でしたね。特に入院となると、赤ちゃんの状態が心配になる上に、ご夫婦による泊まり込みでの付き添いや休暇取得などの仕事の調整、上の子のお世話など、ご家族の負担も大きいと感じます。RSウイルスは産まれて数週間の赤ちゃんでも感染するもので、重症化のピークは生後1〜2カ月と言われています(※2)。家庭外で感染した兄姉や大人が、気づかないうちに赤ちゃんに感染させてしまうケースも少なくありません。
RSウイルス感染症に対する治療薬はなく、感染した場合は症状をやわらげるための治療(酸素の投与、点滴、人工呼吸管理など)を行います(※4)。だからこそ大切なのは、周りの家族が予防対策を徹底して行うこと。家族全員の手洗い、ドアノブやテーブルなどの共用部分を清潔に保つこと。家庭内で風邪症状のある人がいる場合は、赤ちゃんとの接触をできるだけ避けましょう。万が一症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診してください(※4)。またRSウイルス感染症の流行期や報告数は年によって変動する(※6)ため、普段から情報を集めて流行を把握しておくことも有効です。
生まれてくる赤ちゃんには、抗体薬を使うことができます。これはRSウイルス感染症の流行期にRSウイルスに対する抗体(ワクチンによる抗体とは異なる、人工的につくられたモノクローナル抗体というもの)を赤ちゃんに直接注射することで、RSウイルス感染症の予防および重症化を抑制する効果が期待できるものです。
また、妊婦さんに接種するRSウイルス母子免疫ワクチンもあります。妊娠中のお母さんがこのワクチンを接種することにより、お母さんの体で作られた抗体が、胎盤を通じてお腹にいる赤ちゃんに与えられ、それによってRSウイルス感染症の発症及び重症化予防が期待できます。ワクチンや抗体薬の具体的な効能又は効果など、他に気になることがあればかかりつけ医に相談してみてください。
「赤ちゃんはお母さんの免疫に守られているから、病気になりにくい」は本当?


生まれてから半年くらいの赤ちゃんは、お母さんの免疫が体に移行して守られているから病気をしないと聞きました。本当ですか?
(子ども6歳・3歳)
【田中先生からの回答】
確かに、生まれたばかりの赤ちゃんは、お母さんのお腹の中でもらったお母さんが持っている免疫で守られています。ただ「生後半年は病気にならない」というのは誤解です。病原体のなかには母体からの免疫では対応できないものもあり、お母さんにもらった免疫がすべての感染症から守ってくれるわけではありません。また人の免疫力には個人差があり、お母さんの免疫力がもともと弱い場合などは、赤ちゃんに伝わる免疫が少なくなることもあります。だからこそ、普段からの予防と対策がとても大切なのです。
妊娠期間は分からないことや不安がいっぱい。誰に相談すればいい?


自分の体調管理や仕事との両立、赤ちゃんの成長、上の子のお世話、入院・出産・産後の準備…。特に初産のときは分からないことや不安もたくさん。正直、出産後の赤ちゃんの感染症にまで意識が向いていませんでした。
(子ども7歳・3歳)

特に大きな病院は診療の時間が限られていて、医師や助産師さんに質問や相談がしづらく感じます。うまく聞くコツは?
(子ども7歳)

妊娠・出産にまつわる準備や決断って、自分だけでするもの?パパや家族とスムーズに話し合いをするためのコツが知りたい。
(子ども7歳・3歳)

妊娠・出産に関して、インターネットやSNSなどで情報を集めたものの、情報が多すぎて何を信じればいいか分からなくなることも。誰に相談するのがいい?
(子ども1歳・妊娠8ヵ月)
【田中先生からの回答】
正しい情報を得るためには、知りたい内容によって相談先を見極めることが大切です。赤ちゃんやお母さんの体調に関わること…例えばお母さんの心身のトラブルや赤ちゃんの発育、感染症や薬、ワクチンについては、定期健診の時にかかりつけの産婦人科医や助産師に相談しましょう。質問しづらいという人は、あらかじめ聞きたいことをメモして用意しておくとスムーズです。
さらに日常生活の不安、食事・運動・体重管理・授乳準備などは助産師から専門的なアドバイスを受けられるほか、市区町村の保健センターの妊婦相談、母子保健相談の窓口もおすすめです。妊娠・出産の準備については、一人ではなくパートナーや家族と一緒に進めるもの。家事や育児分担といった生活の整え方、出産のスタイルなどは、日常生活の会話のなかで共有しておくといいでしょう。
信頼できる情報を集めるには、厚生労働省や行政機関、日本産科婦人科学会、日本周産期・新生児医学会、病院の公式情報がおすすめです。特にネット検索の場合は出典が明確なもの、専門家が監修しているものを選びましょう。
紹介した内容は、個人の体験に基づく印象や意見であり、すべての方に当てはまるものではありません。気になる症状がある方は、かかりつけの医師にご相談ください。
出典:
1 堤裕幸: ウイルス 55(1): 77, 2005
2 Kobayashi Y et al.: Pediatr Int 64(1): e14957, 2022
3 国立感染症研究所: 病原微生物検出情報 RSウイルス 週別診断名別分離・検出報告数(2007〜2023年)(2025年10月時点)
4 厚生労働省 RSウイルス感染症Q&A(令和6年5月31日改訂)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html (2025年10月時点)
5 国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト RSウイルス感染症とは
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/topics/040/index.html (2025年10月時点)
6 Olsen SJ et al.: MMWR Morb Mortal Wkly Rep 70(29): 1013, 2021
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/graph/iasrgtopics/index.html
ABR45P061A
2025年11月作成
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