保育園で性教育 幼児でも「NO」と言えるように 看護師が絵本やゲームで伝えます
竹谷直子 (2021年11月14日付 東京新聞朝刊)
性について正しい知識を身につけるため幼い頃から性教育を―と、川崎市中原区在住の看護師野田三奈未(みなみ)さん(25)が、横浜市鶴見区の認可保育所で園児向けの性教育に取り組んでいる。野田さんは「自分も他者も大切にできる心の基盤を培いたい」と願っている。
プライベートパーツって? クイズで紹介
「パンツは体の中でも特に大切なところを他の人に見えないように隠して守ってくれる」。野田さんは年長児を対象に、自分の体の大切さを伝える絵本を読み聞かせし、他人に見せたり触らせたりしない「プライベートパーツ」を紹介する。続けて「プライベートパーツはどの部分?」とクイズを出すと、園児たちは元気に答えてくれるという。
自分の体について知り、体のすべてを大切にしてもらおうと、体のパーツを学ぶゲームも自作し、取り入れている。
初めて触れる性の情報は大切
野田さんは助産師学校時代、また助産師になってからも、望まない妊娠をした中学生や高校生らに出会い、「適切な知識がないからではないか」と性教育の必要性を強く感じてきたという。
スマホやタブレットに幼い頃から触れる子どもたちも多い。「性について初めに触れる情報が、偏った情報もあふれているインターネットだと、それを当たり前だと思って成長してしまう」と野田さん。「自分の身を守る、生きるための力の基盤をつくる幼児期が重要なのでは」と4月に保育園の看護師として転職した。
「『いや』とはっきり言えない子も多い。嫌と言っていいんだと知ることは自分を守る力として必要」という野田さん。「NO(嫌だ)」と言うことの大切さを伝えると、園児たちは真剣な顔で聞いているという。「性教育を受けられない保育園もある。等しく性教育を受けられる社会になってほしい」と話した。
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